第三章
[8]前話
「小さな子、何十本もある剣で編んだ衣を着ていてな」
「剣ですか」
「そして右手に宝剣を持ち」
帝はさらに言われた。
「左手に索があり法輪に乗って空を飛んできてな」
「そうしてですか」
「鬼達と戦ってな」
「その鬼達を全て倒した」
「そうした」
まさにというのだ。
「そして起きるとな」
「病はですか」
「すっかり治っていた」
「そうですか」
「おそらく鬼達はな」
「病魔ですな」
「そしてその子、護法童子がであるな」
その彼がというのだ。
「全て退治してくれた」
「そうでしたか」
「大和にあってもな」
都から離れたこの地にいてもというのだ。
「そうしたことが出来るとはな」
「命蓮という者話通りですな」
「全くだ、ではな」
「はい、それでは」
「その経典確かに信貴山に送ろう、そして護法童子のこともな」
帝はご自身を救ってくれた彼のことも話された。実に真摯でかつ真剣なお言葉であった。
「後世に伝えよう」
「そうしますか」
「何らかのことでな」
「ではです」
使者はここで帝に自分の考えを述べた。
「このことを絵巻物にです」
「描いてか」
「残してはどうでしょうか」
「書ではなくですか」
「はい、そうした姿なら」
その護法童子がというのだ。
「それならです」
「描いておくといいか」
「それがいいかと」
「そうだな」
帝は使者の言葉に頷かれた。
「ではその様にしよう」
「それでは」
こうしてだった、命蓮が出した護法童子は絵巻物に描かれてその姿と行いが伝えられることになった。
この童子の姿は信貴山縁起絵巻、信貴山に今も残るそれにある。今では国宝になっているが今もその姿を見ることが出来る。帝を救った話と共に。
護法 完
2021・9・12
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