第十六章 日常の中ならばよかったのにな
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床に、物のほとんど置かれていない、質素で落ち着いた六畳間。
ふすまの隙間から見える、ガラクタ山に気付いてしまうと、一転して落ち着きもへったくれもなくなってしまうが。
突貫作業で、全員で隣の洋室へと物を運び、押し込めたのだから仕方ない。
ここは千葉県我孫子市泉地区。
一戸建てにぐるり囲まれ建っている、五階建てマンションの四階、須黒美里先生が一人暮らしをしている部屋だ。
どうして急遽、片付けをすることになったかというと、なんのことはない。
須黒先生が、リヒトの動きに備えた対策会議のために、関係者を自室に招いたはよいが、自分の部屋がとてつもなく散らかっていることをすっかり忘れていた、という、ただそれだけの話だ。
招かれたのは、みな現役の魔法使い。
今回、色々な面で当事者になってしまっている、令堂和咲。
同じ、天王台第三中学所属の仲間である、明木治奈と、昭刃和美。
リヒト所属であるが、慶賀応芽と親友であったために関わることになってしまっている、銀黒髪の嘉嶋祥子。
隣の学区で、助け合う関係であるため、知っておいてもらおうと呼ばれた、第二中魔法使いのリーダーである、万延子。
この、五人である。
慌てて片付けこしらえた空間の、中央に置かれた白い座卓を取り囲んで、私服姿の彼女たちは、それぞれ床に腰を下ろしている。
何故、このような場所で、対策会議などを開いているのか?
それは、樋口校長にも、メンシュベルト東葛支部にも、何故か連絡が取れないためだ。
リヒト東京支部での件を、須黒先生が校長に伝えようとしたが電話繋がらず、メールも返信なし。
校長室も、もぬけの殻。
東葛支部へ問い合わせるが、担当不在とのことで、上長と話すことが出来ず。
ならばいっそ本部か、または、知った顔である第二中の杉崎真一先生へ相談しようか。
などと思案しているうち、だんだんキナ臭く感じるようになった須黒先生は、念の為、背広組への相談は控えて、信頼の置ける者たちを集めた。
というのが、円卓の騎士が集まることになった経緯である。
リヒト所長、至垂徳柳がその気になれば、メンシュベルトの懐柔程度は容易かも知れないし。下手に動いて、勘ぐっていることに気付かれて、生命の危険に身を晒してもバカバカしい。しばらくは、待
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