第十六章 日常の中ならばよかったのにな
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ちの姿勢でいよう。と。
「しっかし、あの、シダレだかハナタレだかオシッコタレだか、変な名前の男。いつ見ても薄笑いで、気に食わねえ野郎とは思ってたけど、まさか態度通りのゲス野郎で、しかも、こんな堂々と動いてくるとは思ってもみなかったぜ」
胡座をかきながら、吐き捨てているのは、ショートパンツ姿のカズミである。
「まあ、堂々とでなければ、以前から動いてはいたわね」
苦々しい笑みを見せる須黒先生に、
「そうだったんですか?」
目をばちばちさせながら、驚きと不満の混じった表情をしているのは、アサキである。
驚きは、初めて聞いたからで、
不満なのは、ならば対策してくれていたら、仲間たちの生命は無事だったかも知れないじゃないか、と思ったためである。
「うん。メンシュベルトの上層も相当に警戒している、って校長からよく聞かされた。……万さんも、リヒトという組織のことや、メンシュヴェルトから分離して出来たというのは、もう知っているわよね?」
「ええ、うちのスギちゃんから聞かされました」
スギちゃん、杉崎先生のことだ。万延子のいる第二中学校で、魔法使いをまとめている、組織の一員である。
メンシュヴェルトは、末端にリヒトの話をすることは、基本的にはない。そのため、魔法使いたち末端は、ほとんどがリヒトを知らない。
でも、今回のリヒト所長とのいざこざかあった以上は、第三中と仲のよい第二中の子たちも、存在は知っておいた方がいいだろう。そう判断した須黒先生が、杉崎先生に話をしてもらうよう頼んでおいたのだ。
「杉崎先生は、リヒトのこと悪くいわなかったでしょうけど。……ヴァイスタや異空の、研究方針について、メンシュベルトと倫理観に大差があることから、離脱発足したのがリヒトなのよね」
「やっぱり、そうだったんですね」
納得、という表情で小さく頷いたのは、そのリヒトに所属している、嘉嶋祥子である。
組織の悪い話など、公に聞かされるはずもなく、知らないのも不思議ではないだろう。
須黒先生は、テーブルに肘を置いた。
「それと、小さい組織であるが故のフットワークの軽さが、強引さや傲慢さにも思われたみたいで、わたしたちの上層、メンシュベルト幹部には、疎まれてもいたらしいわね。表向きは、同じ目的の仲間だったけど」
「よく、うちから特使を受け入れましたね」
「特使制度も、リヒトにはリヒトの思惑があるのでしょうけど、メンシュベルトとしても、リヒトの魔法使いを把握して置きたくて、続けられていた」
「はあ」
気のない返事をする、祥子。
「水面下の争いこそあれ、最終的な目的は、やはり世界の平和であり、ヴァイスタを駆逐し、異空からの驚異を根絶することである。とも、思われていたけ
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