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隠れ軍師
第一章

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                隠れ軍師
 水瀬由貴黒髪をロングにしていて楚々とした顔立ちである、顔立ちは全体的に無表情で人形の様だ。神戸の長田区にある八条学園高等部商業科の三年生である。
 背は一四五センチで所謂ロリ体型だ、無口で大人しい性格だがクラスでは目立たないと言われている。
 それで誰もが彼女についてこう言っていた。
「成績はいいけれど」
「物凄く無口だし」
「スポーツは普通だし」
「目立たないよな、水瀬さんって」
「どうにも」
「外見は悪くないけれど」
「本当に喋らなくて前に出ないから」
 こう言うのだった。
「何かいても気付かなくて」
「地味だよな」
「影薄いって言ったら薄いし」
「そうした娘?」
「本当にね」
 由貴は目立たない、そうした娘だとクラスの皆は言っていた。だが。
 あるクラスメイトが自分の席でファッション雑誌を読みながら学校で自分が穿くべきストッキングを考えていると。
 そこに由貴が通り掛かって言ってきた。
「黒」
「黒?」
「そう、黒」
 ストッキングの色はというのだ。
「貴女に似合う色は」
「そうなの」
 まさにというのだ。
「脚がすらりとして長くて綺麗だから」
「そうした脚だから」
「黒がいいから」
「それじゃあね」
 そのクラスメイトも頷いた、そして黒のストッキングを穿いて登校してみると。
 好評だった、それで由貴に言った。
「水瀬さんの言う通りにしたらね」
「好評だったの」
「そうだったわ、だからね」
 それでというのだ。
「有り難うね」
「好評だったら何よりよ」 
 由貴は微笑んで応えた、それだけでなく。
 世界史の年号を必死に覚えようとしている男子生徒の傍を通ってぽつりと言った。
「一八一三年ライプチヒの戦い」
「その年か」
「そう、ナポレオンが負けた戦い」
 傍を通り掛かる様にして言った。
「その戦い」
「よし、覚えたよ」
「それじゃあ」
「何か言われて頭に入った、有り難う」
「私は言っただけ」
 こう言って由貴はぽつりと言って去った、その他には。
 日曜に大阪に行こうと話しているクラスメイト達のところに来てもぽつりと言った。
「日曜大阪は雨」
「あっ、確かに」
「天気予報見たらそうね」
「それも大雨ね」
「じゃあ傘必要ね」
 クラスメイト達も自分達の携帯を見て天気予報をチェックして驚いて言った。
「そうね」
「ええ、大阪行くなら」
「大雨だっていうし」
「それならね」
「そうして行った方がいいから」 
 こうクラスメイト達に囁いた、それで。
 月曜日クラスメイト達は由貴に言った。
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