第二章
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「いつも通りにな」
「はい、王の宮殿の中にですね」
「そこに入れますね」
「そうしますね」
「そしてだ」
そのうえでというのだ。
「いいな」
「はい、それでは」
「その様に致します」
「この度も」
「その様にな」
こう告げてだった。
彼は生贄達を風呂に入らせた、するとそこに。
彼は赴いた、まずは女達のところに入り楽しみ。
次に男達を楽しんだ、その次の日に彼は側近達に話した。
「今回もだ」
「どの者もよかった」
「左様ですね」
「どの男も女も」
「そうだった、いい口実だ」
王は笑顔で話した。
「生贄にするということで余の宮殿に入れてだ」
「楽しまれる」
「そうされますね」
「夜の伴侶として」
「ミノタウロスは確かにいる」
この者はというだ。
「しかしだ」
「はい、頭は牛です」
「それでどうして人を食うのか」
「そうした風に言っている者も多いですが」
「その通りですね」
「あの者は草しか食わぬ」
牛の頭でありだ。
「そして身体は逞しいがな」
「それでもですね」
「牛の頭のせいで大人しいです」
「草しか食わずあちらからは何もしない」
「実に大人しいです」
「それに話が妃パシパエと牡牛の間の子というが」
このことについても話した。
「人と牛の間に子が生まれるか」
「それもないです」
「そんなことは有り得ないです」
「人と獣が交わった話はありますが」
「しかし」
それでもというのだ。
「それで子が生まれたことはありません」
「神と人の間に子は生まれる」
ミノス王はそれはあると述べた。
「そうだな」
「はい、それはあります」
「他ならぬ王ご自身がそうです」
「偉大なるゼウス神の御子です」
「それが王です」
「そうだ、だからそれはあるとな」
神と人の間に子が生まれることはというのだ。
「ある、人とニンフも同じでだ」
「神とニンフもある」
「そうですね」
「ですが人と獣となると」
「そんな話は」
「確かに妃は牛と交わった」
このことは事実だというのだ。
「だがそれでもだ」
「はい、それはないです」
「ミノタウロス様は間違いなく王の御子です」
「偉大なるゼウス神は王の母君に近付かれる時に牡牛になられています」
「そのことからくるものですね」
「おそらくな、そしてあの者はな」
ミノタウロスの話をあらためて話した。
「草しか食べぬ」
「人を襲うなぞ間違ってもありません」
「そうしたことはありません」
「その様なことは」
「ならアテネに送らせている者はどうなるか」
それはというと。
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