第百十三話 甘寧、敵陣を見るのことその五
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「それと同じよ。海賊は隠れるものだから」
「だからか」
「私も最初はここで河賊をしていた」
甘寧も言う。
「それでだ。こうした場所についてはだ」
「よく知っているのだな」
「そうだ。こうしたことも昔取った杵柄だ」
甘寧は牙刀にこうも話した。
「よくわかっている」
「ではこの場所に船を置き」
ここでだった。彼も周りを見回す。
「そしてだな」
「そうだ。ことが終わればだ」
「すぐにここから去るわ」
「わかった。では行こう」
こう話してだった。彼等はだ。
岸からだ。敵の陣に向かう。その際林の中を進む。
その中ではだ。敵はいなかった。
「何か拍子抜けだな」
「そうですね」
ロックとほたるがその林の中で話す。林の中には敵はいない。敵陣に近くともだ。
「敵はここにいてもおかしくないんだがな」
「それがいないですね」
「わざとそういう道を選んでいるのだ」
先頭を進む甘寧がまた話す。
「だからだ。この道は誰も知らない」
「私達以外はね」
「やっぱり持つべきものは土地勘のある友達ね」
ジェニーはそんな二人にまた笑って言った。
「いや、本当に」
「この地図本当によくできてるから」
諸葛勤も感嘆する。その地図を見て。
「道まで描かれているのよ」
「林の中のか」
「ええ、そうなのよ」
こう牙刀にも話す。
「とてもよくできているわ」
「誰の地図なの?その地図は」
「穏が持っていた地図なの」
諸葛勤は今度はジェニーに話した。
「それを借りてね」
「あの娘本当に色々なもの持ってるわね」
「ええ。元は揚州の長老が書き残したもので」
「長老ね。やっぱりこうしたことは」
「そうですね。そこに長く住んでいればこそです」
諸葛勤も言う。
「色々とわかっています」
「そしてそれが今私達に役立ってくれてるのね」
「そうなります」
「じゃあ思いきり役に立ってもらいましょう」
ジェニーは笑ってこう言いだ。仲間達と共に先に進んでいく。そうして。
遂にその敵陣の近くまで来た。森の中に隠れてその陣を見ると。
「敵の数は百万か」
「そういうところね」
甘寧と諸葛勤が話す。
「それに白装束の者達ばかりだな」
「兵はやっぱりあの連中なのね」
「武器はこれといって変わりはないか」
「弓がかなり多いけれど」
「弓か」
弓と聞いてだ。牙刀が言う。
「ではその弓矢をどうにかすればいいな」
「どうにかって?」
「使えなくするか減らすかだ」
具体的にはそうするとだ。彼は妹に答える。
「そうすればいい」
「弓がなければこっちはかなり楽になるからな」
ロックもそのことを言う。
「じゃあ何らかの方法で減らしていくか」
「そうするべきだな」
「それでだけれど」
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