疾走編
第三十九話 エルゴン星域会戦(前)
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ッツ提督」
「発言と意見具申は現況説明の後でいいかね」
「提督はこのファーレンハイト中佐なる者がヒルデスハイム伯を見捨てて敵前逃亡した事を知りながら、参謀として麾下に加えられたのですか」
「フレーゲル少将、そのような事実はない」
「何と仰せられる、中佐はヒルデスハイム伯を補佐する役目を投げ出してイゼルローン要塞に逃げ帰ったのですぞ。それを、そのような事実はないと仰るのか」
「中佐を解任し、下艦を許可したのはヒルデスハイム中将だ。ノイエンドルフの航海記録にそう記されている。敵前逃亡でもないし無許可離隊でもないが…」
「…フン、まあ、それならそれでいいでしょう」
「…説明を続けたまえ、中佐」
「はっ。…それに対し我が軍は、艦隊を二つに編成して対処します。我が艦隊の二時方向に位置するであろう反乱軍の艦隊、フロッテAに対しヒルデスハイム中将を先任指揮官とする艦隊、十時方向に位置するであろう反乱軍艦隊、フロッテBに対しメルカッツ提督を先任指揮官とする艦隊に分離します。これよりそれぞれの集団をヒルデスハイム艦隊、メルカッツ艦隊と呼称します。
フレーゲル少将とシャイド少将はヒルデスハイム中将の指揮下へ、シュッツラー准将はメルカッツ提督の指揮下へ入ってもらいます。全体の指揮はメルカッツ提督が執られます…何か質問はございますか」
「よろしいか」
「どうぞ、フレーゲル少将」
「全体の指揮はメルカッツ提督だが、ヒルデスハイム艦隊は自由に動いてもよい、そう解釈してもよいのかな?」
「…メルカッツ提督の命令の範囲内であれば、ヒルデスハイム艦隊の裁量で行動してもらって構いません…よろしかったでしょうか、提督」
「構わんよ」
「了解した、ヒルデスハイム伯、叛徒共に懲罰を与えてやりましょう」
「ああ、大神オーディンもご照覧あれ、だな」
「…ご苦労だった、中佐。他に意見が無ければ解散とする。皆の健闘を期待する。乾杯!!」
……こんな戦いに意味があるのだろうか。反乱軍との戦いはもう百五十年近くも続いている。今では当初の目的も忘れられ、前線はただ武勲を求める場と化している…。
「どうかなさいましたか、閣下」
「シュナイダー中尉か。いや、何でもない…軍人は軍人たればよいのだ」
そう、軍人は軍人である事を考えておればいいのだ…
「提督、小官のせいでご迷惑をお掛けしてしまったようです。誠に申し訳ございません」
「いや中佐、卿が謝る必要はない。あってはならん事だが、乗艦したままであれば何をされたか分かったものではないからな。それに、ヒルデスハイム伯自身は少し反省しておる様だ。まあ、今だけかもしれんがな」
8月30日19:00 エルゴン星域、自由惑星同盟軍、第五艦隊、旗艦リオ・グランデ
オットー・バルクマン
やはり
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