暁 〜小説投稿サイト〜
モンスターハンター 〜故郷なきクルセイダー〜
回想編 時代の始まりを生きた者達
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彼が何者でもなくなったのだとしても、その身に流れている騎士の血だけは、紛れもない「本物」なのだから。

 ◇

 ――それから、9年。
 ロノム村と呼ばれる小さな集落にある集会所の屋根に、1人の老人が座り込んでいた。

 独り星空を仰ぎ、キセルから煙を蒸している彼は、柔らかな笑みを浮かべている。その星空に輝く十字星の煌めきは、失われし伝説を知る彼を優しげに照らしていた。

「ほっほっほ。今宵はよぉく、星が見えるわい」

 かつての少年が上位ハンターの1人として、伝説の覇竜に挑んでいることは老人も知っている。だが、彼の表情には一片の不安もない。

「……見えるかい、アレクセイさんよ。あんたの子孫も今頃、でっかい武勲を上げている頃じゃろうて」

 在りし日の騎士団長と瓜二つの青年に成長した今の彼ならば、必ず覇竜にも勝てると確信しているのだ。
 天の十字星が輝く限り、ルークルセイダーの騎士が負けることはないのだから。

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