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同盟上院議事録〜あるいは自由惑星同盟構成国民達の戦争〜
【著名な戦闘】ヴァンフリート4=2防衛戦
【著名な戦闘】ヴァンフリート4=2防衛戦(10)〜セレンゲティ氷原大機動戦(下)〜
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ンハルトは『部隊指揮統括』と見做していたがフランダン伯からすれば『中央のボンボンの横暴に対する諸侯の防波堤』と自身の立場を解釈していた。
 つまるところそのすれ違いである。略奪品の扱いに指揮系統の隔離。

「連隊長は二個大隊、旅団長たる私が二個大隊を直卒する!各中隊は連携し前進せよ!
壊乱した陸戦隊共は無視し叛徒を叩き潰せ!
敵を発見し次第、通信と共に発煙信号を打ち上げろ!叛徒を叩き潰せ!」
 単純かつ効果的な作戦である、絶対数でいえば3,000をわずかに超えた程度。
敵が浸透を続けるのであれば、であったが。


「戦車が来るぞ!あの時の伯爵殿だぁ!」

「よぉぉぉぉし!逃げるぞ!信号弾を打ち上げろ!」
 ターイー達は即座に踵を返し、駱駝の尻尾を丸めて逃げ出したのである。
 逃げるかターイー!とフランダン伯が叫んだかどうかは知らぬがターイーが

「逃げるさバーカ!バーカ!誰がやる気満々の精鋭装甲旅団相手に正面からやりあうかい!」
 とゲタゲタ笑っていたのは間違いないそうだ。
 置き土産にゼッフル粒子封入弾とチャフやら煙幕やらをばら撒きながらターイー戦闘団は尻に帆をかけて逃げ出す、これすらも事前の計画通りであった。

 ターイーのハラスメント作戦の混乱を受けたのはラインハルトが計画した集積所方面の作戦であった。
 ラインハルトの構想通りであれば臨時編成の陸戦隊の数の優位を活かし、敵の予備戦力を枯渇させ、薄まった戦線を装甲旅団が予備隊として集中投入し突破するはずであった。
 旅団の戦力が3分の1になるのは想定の範囲外である。

 だが逆に言えば戦力の枯渇は常に続くはずであったが――

「ターイー老、いやはや‥‥アレが味方で良かったと思うべきか。
予備を引きはがしたぞ!重装甲隊!突撃せよ!」

「ティアマトの連中にかっさらわれるな!正面から殴りつけてやれ!」

 ウルク・ハイは二個中隊を捻出しポスポリテ・ルシェニェと連携した突撃を敢行、一個大隊を潰乱せしめる事に成功した。
 これにより戦線の整理に成功した彼らはフォルベックの統率宜しきを得た持久戦へと行こうしつつあった。
 



 マヒワ集積所の戦いでは、同盟軍は900名が死傷し、帝国軍はディーオッチン領隊を含め2,800名程が死傷、あるいは行方不明となり、同盟軍が手に入れた俘虜は1,300人を超えた。

 ヴァンフリートの一個師団が行軍を開始した知らせを受けたラインハルトは一時的な後退を決意せざるを得なかった――というよりも後続が集積地確保の報を聞きつけ無理な行軍を開始したことでケレブラント航宙騎兵隊の襲撃を受け、著しい混乱が生じた所為でもある。
 それを見越してフランダン伯を彼の補佐につけたのだ、という指摘も正論ではあるが―
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