第四話 テスト勉強その十五
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「何人でも助けられるだけね」
「助けて」
「そしてね」
「自分もなのね」
「助かることよ、というか他人犠牲にして自分だけ助かろうとする奴とか」
そうした者はというのだ。
「嫌われるし神様からもね」
「見放されるのね」
「そうなるでしょ」
「けれど遭難してどっちかしか生きられないなら」
理虹が言ってきた。
「それならね」
「ああ、その場合はね」
「別に相手を犠牲にしてもね」
「いいっていうわね」
「難しい選択だけれど」
「船があって一人しか乗れないなら」
「もう一人を海に放り出してね」
そうしてというのだ、若しそうすれば海に放り出された方が溺れ死ぬか鮫の餌かになることは明らかである。
「それでもね」
「いいっていうわね」
「この場合はどうかしら」
「究極の選択ね」
富美子も難しい顔になって述べた。
「その場合は」
「そうよね」
「私もね」
富美子にしてもというのだ。
「その場合はね」
「難しいっていうのね」
「そんな極限の状態だとね」
「生きるか死ぬかだと」
「どっちかがね」
「それじゃあ」
「ちょっとね」
どうにもというのだ。
「決められないわね」
「そうなのね」
「言えないわ」
はっきりと、というのだ。
「どうしてもね」
「そうなのね、富美子も」
「その時は私もね」
「どうするか」
「他の人を海に放り出しても」
例えそうしてもというのだ。
「生きるかもね、ただね」
「ただ?」
「それで生き残っても」
そうしてもというのだ。
「後で自分でどう思うか」
「わからないのね」
「後悔すると思うわ」
その時はというのだ。
「人を殺してね」
「自分だけが生き残ったから」
「そうなったら」
「やっぱり」
「そう、後悔して」
それでというのだ。
「生きると思うわ」
「そうなるのね、それ言われたら」
「理虹もでしょ」
「絶対そうなるわね」
「そうならないとね」
かな恵はやや俯いて述べた。
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