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大阪のぶるぶる
第三章

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「えっ、幽霊!?」
「ちょっと待って」
 春海は有紗と一緒のものを見て言った。
「違う感じよ」
「あっ、そういえば」 
 有紗も言われて気付いた。
「そうよね」
「でしょ?幽霊そっくりだけれど」 
 それでもというのだ。
「何か小刻みに震えてるわよ」
「ちょっと幽霊じゃないわね」
「ええ、違うわ」
「じゃあ何かしら」
「しまった、うっかり姿出したわ」
 その幽霊みたいだが違う何かは自動販売機の灯りに照らされつつ二人に言った。
「失敗だったわ」
「ということかさっきまで姿消していたのね」
 春海はこう返した。
「そうだったのね」
「ええ、そうよ」
 その通りという返事だった。
「実はね」
「そうだったのね」
「私は幽霊じゃないわ」
「やっぱりそうなのね」
「妖怪よ、ぶるぶるというの」
 自ら名乗った。
「人を寒くさせて震わせる妖怪よ」
「そういえばうちの学校にいたかも」
「そうよね、聞いた記憶あるわ」
 有紗は春海に応えて述べた。
「うちの学校そうした妖怪もいるってね」
「そうよね」
「うちの学校妖怪の話多いし」
「その中でもね」
「そうなのね、兎に角人を寒くさせるのが好きだから」
 ぶるぶるは二人にあらためて話した。
「あんた達もお家までそうしてやるつもりだったのよ」
「全く迷惑なことね」
 有紗はぶるぶるの言葉に口を尖らせて言った。
「お陰で寒くて仕方なかったわ」
「それが私の生きがいだから」
「やれやれよ、しかしあなた今だったって言ったけれど」
「姿見られたらもう終わりよ、私は隠れて寒くさせるのが好きだから」
 それでというのだ。
「見付かったら退散するのよ」
「そうするのね」
「だから」
 それでというのだ。
「これで帰るわ」
「あんたのお家に?」
「近所の吉田さんの屋根裏にね」
 そこが彼女の家だというのだ。
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