第一章
[2]次話
多忙な中のクリスマス
八条義統はこの時やっとその日が近いことを知った。
「そうですね、もうすぐクリスマスですね」
「はい、そうです」
彼が長官を務めている連合中央政府国防省の若いアフリカ系の男性スタッフが仕事が一段落して一服している彼に話した。
「十二月ですから」
「忘れていました」
八条は少し苦笑いになって答えた。
「クリスマスは」
「そうなのですか」
「忙しかったので」
だからだというのだ。
「ついつい」
「確かに長官はお忙しいですね」
「はい、忙しいと言うものではないかも知れませんが」
これは八条自身の考えである。
「忙しい状況を忙しいとはです」
「言わないものですか」
「はい、それは当然だと」
その様にというのだ。
「考えて」
「そうしてですか」
「日々努める」
「それが日本の考えですか」
「父に言われました」
現在の八条家の当主である彼にというのだ、連合屈指の企業グループの総帥でもある彼からである。
「皇室の方も総理もです」
「責任ある立場の方ですね」
「はい、そうした方はです」
まさにというのだ。
「忙しいと言われない、当然の様にです」
「お仕事をされる」
「そう言われました、ですから今の私も言葉は失格ですね」
こう言うのだった。
「いけません、まして一年のスケジュールもです」
「そちらもですか」
「頭に入れておかねば」
「だからですか」
「私もまだまだだと実感しました」
「そうですか」
「はい、しかしもうですね」
八条はスタッフにあらためて言った。
「クリスマスですか」
「あと少しで。そろそろ街もです」
「クリスマス一色になりますね」
「そうなります」
「そうですか。では」
八条はスタッフに微笑んで述べた。
「このお部屋もです」
「長官のお部屋もですか」
「執務室ですが」
それでもというのだ。
「クリスマスのものにしますか」
「例年通りですね」
「そうします、十二月になれば」
その時にというのだ。
「そうしましょう」
「では」
「そのことも考えておきます」
スタッフにこう述べた、そしてだった。
八条は実際に十二月になると自身の執務室にツリーを飾った、その他にも部屋の配色を赤と緑にした。そのうえで。
クリスマスソングもかける様にした、すると国防省のスタッフ達はその部屋に入って観て聴いて八条自身に話した。
「これはまたです」
「見事なクリスマスですね」
「十二月になったからですか」
「こうしましたか」
「はい、いいものですね」
八条は彼等に微笑んで述べた。
[2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ