第百十二話 一同、赤壁に出陣するのことその六
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「そこにだけいても仕方ないからな」
「だからか。亜米利加の空で」
「そこでか」
「ああ、生きるとしよう」
こんなことを話してだった。彼等は。
これからのことを考えるのだった。彼等自身のことを。
右京もだ。沙耶に話していた。
「私も決めた」
「貴方の道を歩むのね」
「そうする。圭殿に」
そのだ。想い人にだというのだ。
「私の想いを伝えたい」
「そうね。それがいいわ」
「華陀殿には深く感謝している」
ひいてはだ。彼にだというのだ。
「あの方のお陰でそれが果たせるのだからな」
「貴方の胸が」
「そうだ。癒された」
そうなったからだというのだ。
「あの苦しめられていた病が消えたのだ」
「有り難いことにね」
「それならばだ。私はだ」
「一歩前に出られる様になったのね」
「それなら前に出る」
決意はだ。自然に言葉になって出ていた。
「どうなろうともだ」
「そうね。私達はあの世界にいるままだと」
「ただ。その生涯を終えていただけだった」
「それが大きく変わったわ」
微笑みだ。こう言ったのである。
「人生においてね」
「そうだ。それなら」
「私もね」
ひいてはだ。沙耶もだとだ。彼女も言った。
「この世界で多くのことを知ったわ」
「貴殿と私は住んでいる時代は違う」
「けれどそれでもね」
「こうして会い語り合い」
「そして共に戦い」
そうしてだった。
「よくわかったわ」
「様々なことがだな」
「私の生きている時代にも色々なことがあるけれど」
「その全てが」
「よく見えて。落ち着いて考えるようになったわ」
「そのうえで。元の世界に戻られれば」
「生きていくわ。私のやり方でね」
「大河は一つではない」
こんなこともだ。右京は言った。
「無数の大河がある」
「人それぞれに」
「私は私の大河を進み」
「私もまたね」
「そうして生きるべきだな」
「それぞれね」
こうした話をしてだった。彼等もまただった。
進むべき道を見つけ歩もうとしていた。全てが大きく変わろうとしていた。
そんな中でだ。彼等は赤壁に向かう。周瑜はだ。
孫策にだ。こんなことを話していた。
「今のところは順調ね」
「順調過ぎる位ね」
「脱落者もこれといってなく進んでいるわ」
赤壁にまでだ。進軍は順調だというのだ。
「病もないし」
「ええ。そろそろ風土病が気になりだすけれど」
「リーさんが頑張ってくれているから」
リー=パイロンのことである。
「薬のこともね」
「それに兵糧もあって」
「万事順調よ。けれど」
「そう、問題はね」
どうかとだ。孫策はここで目の力を強くさせた。
そうしてだ。こう言うのだった。
「あまりにも順調過ぎるということよ」
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