五十四 垂らされた蜘蛛の糸
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眼が合った気がして、シカマルはビクリ、と肩を跳ね上げた。
「ああ…すまない」
飛段を助けたらしい新たな敵に戸惑いを隠せないシカマル・いの・チョウジの前で、フードを目深に被った人物は背後の森へチラッと視線を投げる。
「手っ取り早く掘り返したが、火力が強すぎたな」
森に棲む鹿に心の内で謝罪しながら、とても目に捉えられない速度で印を結んだかと思えば、爆発で燃え盛っていた森が瞬く間に鎮火した。
いつの間に、水遁の術を用いたのか。
あっという間に森の炎を掻き消した存在は、改めてシカマルを見遣る。
今しがたの爆発とほぼ同時に、再不斬のチョーカーの爆発とタイミングを合わせていた彼は、自分へ警戒するあまりに気づいていないシカマル達を見て、軽く口許に弧を描いた。
(タイミングを合わせたが…さてはて、)
ほぼ同時に別々の場所で起きた爆発。
それを引き起こした存在は、爆風に煽られながら、静かに微笑む。
飛段を墓穴から引っ張り上げるついでに拾ったソレを秘かに懐に入れ、隣で今にもシカマルを殺そうとする飛段を再び、一声で止めた。
「飛段。お前の命は俺が釣り上げた。勝手な行動はやめろ」
「もとから俺の命は邪神様に捧げてるぜ」
嬉々として従う飛段に嘆息し、彼はシカマルに向き合う。
警戒態勢を取るシカマル・いの・チョウジに加え、案内役だったカカシの忍犬であるパックンをそれそれ眺め、フードの影で双眸を細めた。
「水泡に帰して悪かったな。せっかくの墓穴だったが、」
シカマルの努力を無駄にしたと謝罪しつつ、地獄に垂らされた蜘蛛の糸の如く、墓穴から飛段を釣り上げたナルトは白々しくも微笑んだ。
「埋葬するには少しばかり浅すぎたらしい」
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