五十四 垂らされた蜘蛛の糸
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ヤマトって人と、それにあの霧隠れの鬼人もいるから大丈夫だとは思うけど…」
「急いで合流するぞ」
いのとチョウジの口々の説明を受けて、シカマルはすぐさま地を蹴る。
ナルがあの角都と闘っている。
チョウジの言う通り、単独ではなく、ナルの傍にはたくさんの強者がいると知っていても、シカマルは焦燥感を募らせずにはいられなかった。
なにか、胸騒ぎがした。
だがすぐにナルのもとへ向かおうとするシカマルを追い駆けようとしたチョウジといのが森から離れたその瞬間。
森の中から凄まじい爆発音が響いた。
「「「な────」」」
天を衝く黒煙。
爆風に煽られたシカマルは鋭く爆発地点へ視線を投げた。
青空に棚引く煙が不吉な兆しである黒雲のように、シカマルのほうへも流れてくる。
轟々と天を衝く勢いで燃える森の向こう側から、人影がシカマルの眼に飛び込んできた。
(……まさか、)
先ほど埋めたばかりの墓穴。ソレがある地点から起きた爆発。
そして、人影。
結びつかれた点で弾き出された答えに、流石のシカマルも動揺を隠せない。
額につたう冷や汗が森を焼く炎の熱で自然と蒸発していった。
復讐を果たしたはずの男。
ソイツの頭を抱えた誰かが、燃え盛る森を背景に此方へ足を進めてくる。
爆風に煽られるも顔が一切見えない誰かの腕に抱えられた飛段が首だけでシカマルに向かってギャンギャン吼えた。
「てめぇ…!此処で会ったが百年目!ぶっ殺して、」
「飛段」
呆れたように嘆息したフードの誰かが、首だけの飛段を宥めている。
数分ぶりだというのに百年目だと、シカマルへ今にも噛みつきそうな飛段は、その謎の人物の鶴の一声で口を閉ざした。
「喚くな。もう一度、生き埋め地獄を味わいたいか」
「そ、そいつは勘弁してくれよぉ〜」
シカマルへの態度とは一変して情けない声を上げた飛段に、その誰かは面倒くさそうに巻物を取り出す。
その巻物内に、どうやら首と共に地中から拾ってきた飛段の手足を収容していたらしい。
あのバラバラになった身体を、こんな僅かな時間で拾い上げてきたというのか。
飛段を生き埋めにした張本人であるシカマルは、復活した飛段よりも謎の人物のほうに畏怖を覚えた。
白煙と一緒に巻物から取り出した飛段の手足を、得体の知れない誰かは瞬く間に首と繋げる。
それはまるで神業のようだった。
何等かの糸のようなモノですぐさま飛段の身体を再構成させた相手は、元に戻った身体に感嘆の声をあげる飛段をよそに、シカマルへ視線を投げる。
フードの合間から覗き見える双眸と
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