五十四 垂らされた蜘蛛の糸
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…おい」と青筋を立てる再不斬に構わず、得体の知れない誰かは首元のチョーカーへ手を伸ばす。爆弾にも等しいソレを何の恐怖もなく、細く白い指が触れた。
カチリ、と軽い音が耳に届き、カカシとヤマトは眼を見張る。
五代目火影が施した封印術。
その術式が念入りに組み込まれているチョーカーをあっさりと再不斬の首元から外した相手は何の気もなく。
無造作にソレを遠くへ放り投げた。
「「────な、」」
カカシとヤマトの驚きの声が爆風に掻き消されてゆく。
爆発したチョーカーの爆風に煽られ、フードの陰から覗き見えた双眸が、角都の倒れるクレーターとはまた別の大穴を生み出したのを捉える。
木の根元に寄りかからせたおかげで爆風にも吹き飛ばされなかったナルを視界の端で認めつつ、再不斬の隣で彼は眼を細めた。
爆発を起こしたチョーカーではなく、その向こう側で巻き上がる爆風。
それに逸早く気づきつつも、カカシとヤマトに悟られぬよう、そっと視線を逸らしたナルトは心の内で軽く嘆息を零した。
(タイミングを合わせたが、なかなかどうして難しいものだな)
大きな墓穴。
飛段が埋まったソレを、シカマルは無表情で見下ろしていた。
復讐は成し得た。
アスマの形見であるライターは失ってしまったが、仕方のないことだろう。
飛段と共に埋まってしまったライターを名残惜しく思いつつも、シカマルは墓穴に背を向けた。
踵を返し、森から出たところで見知った顔が近づいてきていることに気づく。
シカマルが生きていると知って、顔を明るくさせたチョウジといのを見て、彼は眩しげに眼を細めた。
「増援か。ありがたいが、一足遅かったな」
「シカマル、アンタひとりで『暁』やっつけたの!?」
駆け寄ってきたいのが驚嘆する横で、チョウジが「流石シカマルだね!」とニコニコ笑顔を浮かべる。
昔馴染みの猪鹿蝶の空気に荒んだ心が癒されてゆくのを感じ、シカマルはようやっと張り詰めていた気を許した。
「なんとかな…それで?向こうはどうなってる?」
飛段と角都を引き離してからシカマルは角都のほうの戦況を知らない。
シカマルの問いに、いのとチョウジは顔を見合わせた。
「ボクといのはシカマルの応援に向かってくれって頼まれたんだよ」
「そう…ナルにね」
「…ッ、ナルが来てんのか!?」
ナルの名前に反応したシカマルに苦笑しつつ、いのは大きく頷いた。
「そうよ。ナルが私達にシカマルを助けてくれって頼んでくれたから、ここまで来れたの。まぁ必要なかったけどね」
「今はナルがあの角都ってヤツと闘ってる。まぁ向こうにはカカシ先生と
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