五十四 垂らされた蜘蛛の糸
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ある再不斬が『暁』に寝返るか、或いは依頼内容を放棄して逃げてしまうかわからない状況下、何の制約も無しに自由にするほど、五代目火影も愚かではない。
よって、枷をつけられた再不斬は、起爆札のようなモノを首元に巻かれてしまったのだ。
「また随分と面倒な術を仕込まれたな」
再不斬の首元のチョーカーを一目見て、その厄介な術式に気づいたらしい。
興味深げに覗き込んでくる謎の人物に、再不斬はまるで他人事のように「趣味の悪い首輪だろ」とうんざりとした表情で同意を求めた。
「躾のいい里なんじゃないか」
「尻尾を振った覚えはねぇぞ」
「だろうな」
木ノ葉の狗になった覚えはない、という再不斬の言葉にはあっさり同意を返した相手は、腕の中のナルをそっと傍らの大木の根元に横たわらせる。
ナルを手放したことにホッと安堵と共に疑念を抱いたカカシは、ナルの無事を確認したいのを堪え、敵の出方を待った。
「早く外してくれ。鬱陶しい」
「確かにお前には似合わないな」
しかしながら緊迫した状況にもかかわらず、再不斬と得体の知れない誰かはチョーカーについて悠長に語っている。
隙だらけに見えて、その実、攻撃を仕掛ければ寸前のヤマトと同じく、首切り包丁でバッサリぶった切られるのは目に見えている。
二の舞を踏むわけにはいかず、ジリジリとふたりのやり取りを窺っていたカカシは、再不斬がチョーカーを外してくれるように頼んでいる相手を慎重に見遣った。
再不斬よりは小柄で華奢な姿。
フードを目深に被っている為、顔は微塵も見えず、声も男か女かハッキリと判別がつかない。
声は特徴の一つのはずなのに、男とも女とも、または子どもの声にもとれるのだ。
(いったい何者だ…?)
疑念を抱くカカシの前で、再不斬と謎の存在は今も呑気にやり取りしている。
「俺もそう思うぜ。だからさっさと、」
「無理だ」
似合わないチョーカーを外すよう頼んでいた再不斬がピタリと止まる。
暫しの沈黙の後、自分の言葉を一蹴した相手へ再不斬は今になって焦燥感の色を帯びた声を上げた。
「…おい、冗談だろ」
今更ようやくチョーカーの怖ろしさを知った再不斬へ、カカシとヤマトは呆れた眼を向ける。
『暁』と戦わず、逃げる可能性をも考え、火の国から遠く離れても自動的に作動する時限装置。
五代目火影自らが施したチョーカーには封印術も施されている為、並大抵の忍びには外せない仕様になっている。
無理に外そうとすれば、即座にドカン、となる怖ろしいソレがそうも易々と外されるものか。
しかしながら、カカシとヤマトの予想を裏切って、相手はあっさりと前言撤回した。
「そうだな、冗談だ」
揶揄われたと知って「…
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