五十四 垂らされた蜘蛛の糸
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その存在は異様だった。
いくら『暁』のひとりを倒した後だからと言って、カカシもヤマトも気を許していなかった。
警戒も怠っていなかった。
それにもかかわらず、気配を悟られずに此処まで近づき、あまつさえナルの傍に接近させるなど、あってはならない。
更に言えば、いくらチャクラが枯渇していたからと言って忍びであるナルがこうもあっさり気を失わされるとは。
だが現に、その存在はナルに近づき、彼女を一瞬で気絶させた。その事実にカカシとヤマトは驚きを隠せない。
(人柱力であるナル狙いか…!?)
だとしたらこの状況は非常にマズい。
気を失ったナルは相手の腕の中だ。このまま連れ去られるのは自明の理。
その前になんとしても取り戻さねばならない。
(このタイミングで、という事はコイツも『暁』か…!?)
即座にヤマトに目配せする。
「ヤマトッ」
「はいっ」
カカシの指示で印を結んだヤマトが腕を伸ばす。
木遁の術により大木と化した腕がナルを気絶させた相手へ迫りくる。
ナルを抱える得体の知れない人物。
そいつへ速攻で攻撃を仕掛ける。
しかし相手は何もしない。ヤマトの攻撃を避ける様子もなく、微塵も動かない。
怪訝に思いつつもそのまま捕らえようとした大木の腕は、しかしながら直後、割り込んできた第三者にザンッと斬り伏せられた。
「な…ッ」
謎の人物を庇うようにぶった切る。
ヤマトの樹木を首切り包丁でぶった切った再不斬は、驚愕するカカシとヤマトに一瞥さえせず、地を蹴った。フードを目深に被る存在の隣に並び立つ。
「おせぇぞ」
「そう?ちょうどいい頃合いだと思うよ」
開口一番、文句を呟いた再不斬に対し、謎の人物は穏やかな物言いで答える。
まるで旧知の仲のような口振りに、カカシは眉を顰めた。
「再不斬…おまえ、」
「悪いなカカシ。てめぇら木ノ葉との共闘は最初から一時的なものだっただろ」
木ノ葉の里へ連行された再不斬は、霧隠れの里へ引き渡さない事を条件に『暁』の角都と飛段の撃退を、五代目火影直々に依頼された。
故に、角都がもはや戦闘不可能になった今、お役目御免だろう、と肩を竦めた再不斬は、警戒心を露わにしつつも動揺するカカシとヤマトへ視線を投げた。
「もう契約分は働いたはずだ。まさか、このままこの俺が大人しく木ノ葉の狗に成り下がるとでも思ってたのか、カカシ」
「だがお前は木ノ葉、いや、火ノ国から出られないと解っているはずだ!!」
カカシの視線の先を追って、再不斬は己の首元を見下ろした。
首回りを締めるチョーカーを眼にして、面倒くさそうに頭を掻く。
「そういや、そうだったな」
抜け忍で
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