第百十二話 一同、赤壁に出陣するのことその五
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「私達も。御主達がいなければだ」
「どうなっていたかっていうんだな」
「醜い戦を。果てしなく続けていた」
そうなっていたというのだ。
「だが御主達と出会えたからだ」
「だからか」
「そうだ。私達は一つになり。この世界の為に、民達の為に動こうとしている」
それはこの世界の誰もが、今劉備の下に集う誰もが想っていたことだった。
しかしそれが一つになることはだ。彼女達だけではできなかったというのだ。
だが覇王丸達が来てだ。それでだというのだ。
「御主達と出会い見て。多くのものを得たからだ」
「それでなれたんだな」
「そうだ。私達にとっても運命だ」
まさにそれだというのだ。
「感謝しているぞ」
「いい笑顔だな」
今の関羽の笑顔は曇りのない。清らかでにこやかなものだった。その笑顔を見てだ。
覇王丸もだ。微笑みそうして言ったのだ。
「若しお静がいないとな」
「どうだというのだ?」
「あんたに惚れていたな」
「そうか。その言葉は」
「何だ?」
「やはり私はそうしたことには疎い」
こう前置きしてからだ。関羽は微笑みに戻りまた述べた。
「だがそれでもだ。わかる」
「そうなんだな」
「今の言葉は最上の褒め言葉だ」
女であるだ。関羽にとっては。
「特に御主の様な漢に言われるとだ」
「俺はあくまでお静だけだ」
その言葉に偽りはなかった。何処までも。
「だからだ。あんたはな」
「そうだな。私も御主がお静殿を見ていなければ」
「あんたはあんたで。相応しい相手を見つけてくれ」
「うむ、そうさせてもらう」
こうした話をする彼等だった。その覇王丸の他にもだ。
夜血と灰人もだ。こんな話をしていた。
「そうか、もうか」
「ああ、その国に行く」
灰人は車座になって飲み合いながら話していた。灰人が言っていた。
「亜米利加って国にな」
「御前の親父か?それがいる国だったな」
「みたいだな。それでもな」
「そこに行っても結構あるだろうな」
「それでもこれ以上離天京にいてもな」
仕方ないというのだ。
「だからそこに行くさ」
「そうか。じゃあ俺もな」
夜血もだ。ここで言うのだった。
「一緒に行っていいか?」
「御前も来るのか」
「俺はあいつと一緒に暮らしたいんだ」
夜血は飲みながら確かな顔になって言った。
「ずっとな。これからな」
「あいつとか。ずっとか」
「もうこれ以上あんなところにいても何もなりゃしないさ」
「それはその通りだな」
「だからな。俺もな」
彼もだというのだ。夜血は。
「離天京を出てそうしてな」
「じゃああいつと一緒に来い」
「那美乃とな」
「御前一人だと抜ける時に生きられるのは御前だけだ」
灰人はその現実を言った。
「しかしな。
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