疾走編
第三十八話 戦いの合間に
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ということだ”
「こちらでも同様の情報でした。メルカッツ提督か…」
メルカッツ提督とはなんとまあ…。少将で六千隻?正規軍なのに?艦隊規模は信頼の証だろうが、階級が伴ってないと思うけど…まあ帝国軍の艦隊編成なんて正規艦隊以外はよく判らんからなあ、そこは置くとしても、人物が厄介だ。堅実で外連味のない用兵…他の三つは判らない、ということは前線に出てきた事のない艦隊…編成中の艦隊…流石にこんな所までは連れてこないだろう、ということは…貴族か!?
“メルカッツ提督の名前は我々も知っている。帝国版ビュコック提督、と言った所かな”
「はい、その通りだと思います。あと三つの集団は…多分大貴族の艦隊かと思われます」
“大貴族だと?貴官は最初の艦隊も大貴族の艦隊だと言っていたそうだな”
「はい。向こう側には帝国軍とは名ばかりの、貴族の私設艦隊が多数存在します。大貴族ともなると惑星単位、星系単位で自分の領地を持っていますので、自領の警備艦隊を持っている貴族が存在するのです。貴族艦隊の総艦艇数は十五万隻を越えるのではないでしょうか」
“…宇宙艦隊がもうワンセットあるというのか、帝国には”
「はい、まあそれはさておき、最初に来冦した艦隊も情報はありませんでした、何故か。…多分、正規の出兵計画ではないからではないでしょうか?だからフェザーン高等弁務官府経由でも情報はもたらされなかった。一万隻という戦力は哨戒や威力偵察には充分過ぎる数ですが、侵攻戦力としては少なすぎます。帝国軍だって、一応まともな軍人の集まりでしょうから、一万隻で同盟領侵攻、なんて中途半端な計画は立てないでしょう」
“だが、先年のエル・ファシルの例もあるぞ。中途半端に攻め寄せてくることもあるだろう、そうじゃないか?”
「あれは遭遇戦が大規模戦闘になっただけで、当初の敵戦力も小さな物でした。増援も数千隻単位とは云え小さかった。結果としてエル・ファシル失陥に繋がったのであって、今回とは違います。あの戦いにも敵艦隊にはコルプト子爵という貴族の艦隊が居ました。増援として先ほど名前の挙がったメルカッツ提督も派遣されています」
“なるほど”
「はい。そして話を元に戻しますが、敵の増援の情報もなかった。いくらなんでも二万五千隻の増援を隠し通す事は出来ない。でも情報はない。やはり正規の出兵ではないからとしか考えられません」
“フェザーンの高等弁務官府とて、いつも出撃情報を得られる訳ではあるまい?”
「…過去に両軍が数個艦隊を動員して戦ってきた会戦規模の戦闘は、事前にフェザーンから情報がもたらされています。同盟が大ダメージを受けたら、通商の利益に影響が出ますからね。そしてフェザーンは一応帝国の自治領ですから、同盟に動きがあれば帝国にも通報するのです。過去に行わ
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