第百十二話 一同、赤壁に出陣するのことその二
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「もう任せてもらっていいわ」
「そうよね。それじゃあね」
リムルルが孫策のその言葉に頷いた。
「孫策さん、御願いね」
「任せておいて。じゃあ今はね」
「今は?」
「今はっていうと」
「もうこの辺りじゃ売ってるのよ」
急にだ。孫策の顔が笑顔になった。そのうえでの言葉だった。
「揚州の酒がね」
「それってまさか」
キングがここで自分の左手を見た。そこでは。
黄蓋が飲んでいた。それも実に美味そうに。
その酒を飲んでいる彼女を見てだ。キングは孫策に言うのである。
「あれ?黄蓋さんが飲んでる」
「そうそう、あれよ」
まさにだ。その酒であった。
「祭ってもう飲んでるのね。相変わらずよね」
「っていうかあの人何処でも飲んでるだろ」
凱がその酒を見て言う。
「もう今更って感じだよな」
「うむ、やはり美味じゃ」
その黄蓋の言葉だ。既に顔が赤くなっている。
「揚州の酒はよい」
「そうですね。確かに」
何故かここで鳳統もいてだ。彼女も飲んでいる。
「このお酒いけます」
「ってあんた飲むんやな」
あかりがその鳳統に気付いて突っ込みを入れた。
「それもかなり」
「お酒。好きですから」
「甘いものだけやないんやな」
「何か。中から求めるんです」
そのだ。酒をだというのだ。
「それで」
「ううん、またしても中身かいな」
「何といいますか」
「まあええけどな」
あかりもそれでよしとした。それでだ。
あらためてだ。鳳統は。
さらに飲む。しかも瓶ごとだ。
ごくごくと飲みだ。瓶を一つ開けてしまった。それを見てだ。
覇王丸もだ。唖然として言う。
「思った以上に飲むな」
「何かどれだけ飲んでも酔えなくて」
「いや、それは半端じゃねえな」
「そうでしょうか」
「ああ、凄いな」
覇王丸ですらこう言う程だった。
「隠れた酒豪だな」
「ふむ。見所があるのう」
黄蓋もその鳳統には太鼓判だった。
「これは将来が楽しみじゃ」
「確かにな」
覇王丸もそれは同じだった。
「ここまで飲めるとな」
「わしも負けてはおれん」
黄蓋は自然にこうした感情にも向かった。
「ではより飲むか」
「よし、俺もだ」
こうして鯨飲に向かう彼等だった。他の面々もだった。
その揚州の酒を楽しむ。それは張飛も同じだった。
食べるだけでなく飲みもしてだ。満足した顔で言うのである。
「やっぱり酒は最高なのだ」
「それ何かやばい言葉だな」
一緒に飲む馬超が突っ込みを入れる。
「酒を子供にしたらな」
「もうそれだけでよね」
それは馬岱も言う。
「最高に危ない言葉になるわよね」
「そうだよな」
「それでもいいのだ」
しかしそれでもだ。張飛は飲めればよかった。
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