第一章
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孤独から幸福を得た猫達
その話を聞いてだった。
ミカエラ=ザンス金髪を短くしているグレーの目の長身の痩せた彼女は難しい顔になってこう言った。
「残念なことね」
「そうですよね」
「ええ、家族を置き去りにするなんて」
ザンスは一匹の薄茶色と白い毛の痩せ細って震えている雄猫を連れて来た若い男性に応えた。
「幾ら何でも」
「ずっとアパートの中にいまして」
「この通りなのね」
「痩せ細って怯えて」
「それを貴方がなのね」
「ずっとどうしようと思っていましたが」
それでもというのだ。
「この度です」
「意を決してなのね」
「ここに連れて来ました」
ザンスがいるニューヨークの動物保護施設の一つにというのだ。
「そうしました」
「よく連れて来てくれたわ」
ザンスは青年に賛辞の言葉を述べた。
「本当に」
「そう言ってくれますか」
「ええ、その子のことは任せて」
こう言ってだった。
ザンスはその猫を施設で引き取った、猫は雄だったのでナルニアと名付けた。すぐに動物病院に診てもらい治療を受け。
そのうえで育てられていったが。
「物凄く臆病ですね」
「そうね、それだけ傷付いているのよ」
ザンスはスタッフの者に共にナルニアを見つつ話した。
見ればナルニアは極めて臆病で人が近付くとすぐに逃げる、今も彼等を見て隅でがたがたと震えている。
「置き去りにされてね」
「ずっと一匹でいて」
「そこで心ない人にもね」
「虐待を受けて」
「トラウマを持って」
そしてというのだ。
「こうしてよ」
「人間が怖くなったんですね」
「そうなったのよ」
「そうですね」
「この子を救うには」
ザンスは真剣な顔と声で言った。
「ノースカロライナに知り合いがいるの」
「ノースカロライナですか」
「そう、サラ=ロンドっていうね」
その人の名前も話した。
「赤がかったブロンドで緑の目の痩せた人でね」
「その人がですか」
「猫の養育のボランティアをしていてね」
そしてというのだ。
「こうした子をいつも救っているから」
「その人にお願いしますか」
「そうするわ」
こう言って実際にだった。
ザンスはそのロンドに連絡をしてナルニアを預けた、この時も彼は逃げて隠れ何とかキャリーに入れられても怯え切っていて震えていた。
だがそれででもだった。
ロンドは彼にいつも優しい声をかけてそうして接して。
温かい目を向けていった、そして。
「この通りよ」
「もうすっかりね」
「ええ、懐いてくれたわ」
「ニャア」
状況を見に来たザンスに彼を見せて話した、見れば今はロンドの家のリビングでくつろいでソファーの上でくつろいでいる。
「この通りね」
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