第139話
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「”工房”から出た時に記憶はフェイクと入れ替えた。それはそれで悪くなかったな。小説の登場人物になったみたいで。無意識で工房と定期連絡を取りつつ生ぬるい平和な友人ごっこに浸る……そういえば結社の”白面”から盗み出した暗示技術らしいけど。うん――――――悪くはなかった。あくまでただの”夢”としてはね。」
幻視はジョルジュ達の幻視から死んだクロウの幻視へと変わった。
「クロウを蘇らせたのだって地精として効率を重視したからさ。工房長には嫌味を言われたけど”相克”に相応しい候補には違いない。そう――――――理由はただそれだけだ。」
幻視は更に変わり、今度はどこかの夫婦と赤ん坊の幻視へと変わった。
「ほぎゃあ、ほぎゃあ……」
「よしよし……いい子ね。」
「優しい顔立ちは君似か……俺に似ずに何よりだったな。ハハ、それはそれでモテて大変かもしれないが。」
笑っている赤ん坊を抱いている優しそうな女性と赤ん坊に黒髪の男性は優し気な笑みを浮かべていた。
「ふふ、そうですね。貴方にもちゃんと似ていますし。貴方に似て鈍感な所があるとこの子も周りも大変そうですけど。」
「???」
女性の言葉を聞いた男性は戸惑いの表情で首を傾げた。
「ふふ、そういう所が愛おしくて大好きという事です。気を付けて、あなた。お役目頑張ってくださいね。」
「ああ、行ってくる。カーシャ――――――それにリィンも。」
「あうう……きゃはは……!」
女性――――――カーシャの言葉に対し男性――――――若き頃のオズボーンは微笑んだ後無邪気に笑っている赤ん坊――――――リィンに微笑んだ。
(――――――あれから百八十年、”彼”が世に出て二十数年ですか。素敵な奥方に健やかなお子……もう心配は不要のようですね。)
一方オズボーン達の様子を物陰から優し気な微笑みを浮かべて見守っていたリアンヌはその場から立ち去った。
(ですがかの”闇”は消えていない筈。”あの方”からの誘い――――――改めて考えてみるとしましょうか。)
そして幻視は次の幻視へと変わった。
「まったくもう……相変わらずなんだから。まあ、どんな研究か知らないけど貴方なら間違いないでしょう。でも週末には戻ってきてね?アリサや父さんが寂しがってるわ。
「ああ、わかってる。愛しているよ――――――イリーナ。」
次の幻視は眼鏡の男性が椅子に座って何かを考えていた。
(ふう……何をやってるんだろう、僕は。妻や娘を放っておいて……こんな兵器の構想を練って……最近、妙に頭痛がするし……何時の間にか寝ている時もあるな。RFのクリニックに診てもらっても特に異常はないみたいだけど……)
何かを考えていた眼鏡の男性
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