第一章
[2]次話
可愛い家鴨達
キム=カインはカナダブリティッシュコロンビア州ナナイモに住んでいるカンボジアにルーツを持つ黒髪に黒い目の痩せた少し小柄な男性である。
料理が好きで今も妻のリアン=マーロー銀髪でアイスブルーの彼女に笑顔で言った。
「今日の夕食はね」
「あなたがなのね」
「作るよ」
こう申し出た。
「カンボジア料理をね」
「そうしてくれるのね」
「美味しいよね、カンボジア料理」
「ええ、カナダはね」
リアンは夫に自国の料理の話をした。
「どうもね」
「お料理はだね」
「よくないからね」
「メイプルシロップがあるね」
「あれだけでしょ」
こう返すのだった。
「カナダって」
「スモークサーモンもあるよ」
「他はよ」
「ないっていうんだ」
「そう、アメリカは実はいいけれど」
その料理はというのだ。
「我が国ときたら」
「それでなんだ」
「そう、だからね」
それでというのだ。
「カンボジア料理もね」
「好きなんだね」
「もうコシのないパスタや焦げたお肉とかね」
「それがカナダだね」
「そんなのはいいから」
「カンボジア料理だね」
「頂くわ、勿論私もお手伝いするわ」
笑顔でこう話してだった。
夫婦でキッチンに立った、ここでキムは家鴨の卵を出した。そのうえで妻に対して笑って話した。
「カンボジア料理といえば」
「それよね」
「家鴨の卵だよ」
「鶏もいいけれど」
「ええ、家鴨もよね」
「いいから」
「使うよ」
妻に言ってだった。
卵を割っていった、彼はこの時まで料理のことだけを考えていたが。
ある卵を割ってだった、キムは驚いて声をあげた。
「雛が出たよ」
「えっ、雛!?」
「うん、卵の中からね」
「ピイ」
見れば本当にだった。
雛が出ていた、それで妻も驚きの声をあげた。
「こんなことあるの」
「僕もはじめてだよ」
「そうよね、有精卵が混じっていたのかしら」
「いや、無精卵を買ったのに」
「信じられないわね」
「うん、けれどね」
「ピイピイ」
卵から出た家鴨の雛はだった。
キムをじっと見ていた、それで彼は妻に言った。
「家鴨とかははじめて相手を親と思うから」
「それじゃあね」
「こっちも食べる訳にはいかないね」
「卵ならいいけれど」
「雛それも生まれたてて見られたら」
それで親と思われたらというのだ。
「もうね」
「食べられないわね」
「この子は育てよう」
「そうするわね」
「これからね」
こう言ってだった、夫婦はその雛を雄だったのでタイニーと名付けてだった。
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