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痩せていたのが太った犬
第二章

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 ローマンはリアムを連れて保安所に来た、そのうえでローレラに話した。
「この通りよ」
「すっかり太ったわね」
「元気になったわ」
「ワンワン」
 見ればすっかり太って動きも元気になっている、ローマンはその彼をローレラに話した。
「ご飯をいつも沢山食べてお散歩もして」
「それでこの通りなのね」
「何があっても私達は一緒よ」
「そうなのね、じゃあこれからもお願いね」
「もうこの子に悲しい思いはさせないわ」 
 ローマンは笑顔で約束した、そしてここでローレラの同僚のデービスがいないので彼のことを聞くとブラジルに旅行に出ているとのことだった。
 デービスはブラジルのサンパウロで一匹の茶色いダックスフントを見た、カップルに散歩に出ているその犬を見て言った。
「また随分と太った子だな」
「いい感じだな」
「そうでしょ」 
 明るいラテン系のカップルが言ってきた。
「ベランカっていうけれど」
「こうなるまで大変だったのよ」
「何だ?病気だったのか?」
 デービスはカップルにスペイン語で尋ねた、二人はポルトガル語出会ったが意志の疎通に問題はなかった。
「この犬は、見れば雌だな」
「ワンワン」
「ああ、俺はラディスカウ=マルカンターラ」
「私はボズィレーネ=ジャンセンよ」
 二人はここで名乗った。
「この街でシェラスコ屋をしているのよ」
「店はそこそこ繁盛してるよ」
「それでサイクリングしている時にね」
「この娘を見付けたんだ」 
 デービスにビアンカを見つつ話した。
「その時はもうガリガリで」
「あばらが見えていたのよ」
「その時日差しも強かったし」
「危ないと思ったからね」
「まず持っていたパンをあげてから保護して」
「それから近所で飼い主を探したんだけれど」
 二人でデービスに話した。
「いなくてね」
「それで家族に迎えたんだ」
「それからは毎日ご飯を沢山あげて」
「ミルクもたらふく飲ませたんだ」
「そうしたらな」
「この通りよ」
「今は丸々しているな、やっぱり犬は太ってる方がいいな」
 デービスはリアムのことも思い出しつつこう思った。
「痩せている方がな」
「太り過ぎならかえって心配だが」
「確かに太ってる方がいいわね」
 カップルも笑顔でその通りだと述べた。
「それじゃあね」
「これからもこの娘を太らせていくよ」
「そうしてくれよ、旅先でいいもの見せてもらったよ」
 デービスはカップルに笑顔で応えた、そして旅行を楽しみ。
 フロリダに帰ってリアムを見て今は太っているリアムを見てまた笑顔になった。犬は痩せているより太っている方がいいと思って。


痩せていたのが太った犬   完


                 2021・11・25
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