プロローグ
[1/3]
前書き [1]次 最後
──ふと、目を覚ました。
体を起こす必要はない。
既に自分は地に立っている。
辺りを見渡すと白い世界が荘厳と広がっていた。
そんな白銀の世界に、膝をつく少年。
右胸に孔を空け、呼吸もロクに出来てすらいない。
瀕死なのは目に見えて明らかな状態。
だというのに、必死に立ち上がろうとしている。
なんと無駄な足掻きなのだろうか。
体を動かす度に吐血をし、白い地面を真紅に染めていく。
やっとの思いで立ち上がったものの、その身は満身創痍どころではない。
瞳を虚ろにし、足を引き摺り、息を荒げ、少しずつ歩を進める。
その目に映る先に、2人の少女がいた。
一方は重傷を負い、意識を失っているようだ。
夥しいほどの血が少女を中心に血だまりを作っている。
もう一方は目に涙を溜め、少女の名前を何度も叫ぶ。
何故か、名前だけが靄がかかったように聞き取れない。
──暫くして視界が一面、白に包まれた。
機動六課。
はやてちゃんが4年もの歳月をかけて設立に成功した部隊。
そこに本局からの貸し出しという出向ではあるけど私は戦技教導官を務める。
同じく出向ではあるけれどフェイトちゃんも部隊付執務官。
才能のある新人4人。
ヴォルケンリッターの皆に部隊長は勿論はやてちゃん。
後見人は、提督になったクロノくんと聖王教会の騎士カリムさんにリンディさん。
「・・・・・・まあ、後見人はもう一人いるらしいんだけど」
はやてちゃんが出向当日まで秘密と言ってたから凄く気になる。
というか。
「機動六課に出向当日に遅刻ってどういうことなの!?」
さっきまで六課の内部を振り返っていた自分を殴りたい。
そんなことする暇はないし、仮にしたら痛い目で見られること間違いなし。
全力疾走でなければならないほどに切羽詰まってるというのに信号が赤を示す。
「はぁ・・・・・・今日ほど街中の飛行禁止を疎ましく思ったことないよ・・・・・・」
転移しようにも、六課の座標を聞いてないからどうしようもない。
若干イラつきはじめ、軽く諦めかけたときだった。
「君も機動六課に出向なのかね?」
横、車道から話かけられた。
ヘルメットを被っているから顔は見えないが、声からして青年と思える。
「あ。は、はい!」
「私も少し寝坊してしまってね。仕方なくこいつに乗っているのだよ」
言い様からして彼も機動六課に出向のようだ。
視線の先は黒いバイク。
フェイトちゃんの車ほどではないけど、真っ黒だ。きっとフェイトちゃんが乗っても違和感はない。
「このままでは間に合わないだ
前書き [1]次 最後
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ