第四話 テスト勉強その十
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「そうでないならな」
「逃げないと駄目ね」
「あのね、死んだらね」
その時はというのだ。
「元も子もないのよ」
「だからよね」
「逃げてもいいのよ」
「命あってだから」
「そう、だからね」
それ故にというのだ。
「逃げてもね」
「いいのね」
「逆に逃げないと」
そうしなければというのだ。
「本当にね」
「殺されるか」
「思い詰めて自殺よ」
「そうなるかも知れないから」
「逃げていいのよ」
その場合はというのだ。
「そうしてもね」
「そういうことね」
「兎に角自殺はね」
富美子は今度は顔に嫌悪感を込めて語った。
「したら駄目よ」
「それだけは?」
「そう、それだけはよ」
理虹にも言った。
「したら駄目よ」
「だから逃げてもいいのね」
「逃げるって決断するにも勇気いるでしょ」
「どうしようかってね」
「織田信長さんだって逃げてるじゃない」
「金ヶ崎でね」
朝倉家を攻めている時に浅井家の裏切りを知ってた、妹で浅井家に嫁いでいた市の小豆が入った袋の贈りものからそのことを知って即座にだったという。
「自分が最初にね」
「それで助かってるでしょ」
「そうよね」
「あの時若し逃げなかったら」
信長がというのだ。
「どうなっていたか」
「わからないわね」
「朝倉家に勝ったらよかったけれどね」
「そう上手くいくとは限らないし」
「あの時逃げたから」
即座にそう決めてというのだ。
「信長さんも助かったし」
「後であそこまでいけたのね」
「本能寺でも逃げたらよかったかも知れないけれど」
この時は燃え盛る炎の中で腹を切って果てている。
「けれどね」
「あの時逃げたから」
「以後の信長さんもあるし」
「逃げていいのね」
「あの時の信長さん誰もけなしてないでしょ」
金ヶ崎での彼をというのだ。
「むしろ即座に決めてね」
「褒められてるわね」
「だからそうしなければ生きられないと思ったら」
その時はというのだ。
「逃げていいのよ」
「信長さんみたいに」
「死んで何もならないのは戦でもいじめでも同じだし」
「他のことでも」
「だからね」
それ故にというのだ。
「もうね」
「逃げることも大事ね」
「そんな使徒と戦わないといけないとか」
そうしたというのだ。
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