第三十話 ゴールデンウィークが終わってその六
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「だからね」
「これはって人はですか」
「いるけれど酷い人がね」
「いるんですね」
「それでそんな人ばかり目立って」
それでというのだ。
「問題なんだ」
「そうですか」
「それで思想家ってやたら横文字使って小難しいこと言うけれど」
「わからないことをですね」
「これこそがね」
「部長さんが今言っておられることですね」
「そう、ただわからないだけで」
ただそれだけでというのだ。
「中身はないんだよ」
「読めたり理解したら凄いとかは」
「そう思うのが危険なんだ」
「そうですか?」
「そう、それは錯覚なんだ」
その実はというのだ。
「実は凄くないんだよ」
「読めたり理解しても」
「小難しい言葉や台詞を一気に並べ立てて読者に一気に読ませても」
例えそうしてもというのだ。
「中身がなくて読めてもね」
「凄くないですか」
「全くね、それで実は中身のない文章なんて」
それこそというのだ。
「何も身に着かないしね」
「難しい文章を読んでも」
「その文章が何を言ってるのか考える時間さえ」
「無駄ですか」
「うん、そんなこと考えるよりも」
「他の漫画やライトノベル読めばいいですか」
「そうだよ、純文学でも面白い作品あるから」
それでというのだ。
「そういうの読めばいいよ」
「わかりやすいものを」
「冗談抜きで太宰の作品は読みやすいから」
太宰も意識してそうした文章にしていたという、彼が敬愛していた芥川は作品によって文体を変えたりもしていたが太宰にはそれはない。
「読んでもね」
「いいんですね」
「うん、ライトノベルでも読みやすい作品の方がいいね」
「はい」
咲の今度の返事は一言だった。
「本当に」
「そういうことなんだ」
「読みやすいといいんですね」
「そうだよ、僕は純文学だと宮沢賢治や志賀直哉が好きだけれど」
「宮沢賢治は小学校の授業で習いますね」
「読みやすいよね」
「かなり」
小学校の教科書の記憶から答えた。
「そうですね」
「うん、あの人の文章はね」
「そうですよね」
「宮沢賢治の言いたいこともね」
作品のテーマもというのだ。
「そうだね」
「そうですね」
「だからいいんだよ」
「わかりやすいので」
「読みやすいから、そしてわかりやすく書いてくれる人は」
それならというと。
「もう真意もはっきりしているね」
「ですね、自分の主張を隠すことなく」
「言っているよ、けれど小難しい文章でね」
「ちょっとじゃわからない様にしていると」
「真意もね」
これもというのだ。
「わかったものじゃないよ」
「そうなんですね」
「難しい文章読めた理解したから自分も頭いいとかね」
「ないんですね」
「それは本当に錯
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