おかしい二人
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。
「よそ見かい?シリル」
「!!」
そのせいで、敵に背後を難なく取られてしまう。
「くっ!!」
慌てて振り返り両腕をクロスさせる。しかし、バリーザウィッチはそれを読んでいたのかなおざりになっている足元を払ってきた。
「わっ!!」
バランスを崩しその場に膝をついてしまう。その隙を彼が見逃すわけもなく、頭部目掛けて蹴りを放ってきた。
「危なっ・・・」
ほとんど反射で倒れ込むように後方に交わそうとした俺。そのおかげでなんとか彼の蹴りは回避することができたが・・・
「なっ・・・」
まるでそれを狙ったかのように天井から矢が降り注いでくる。
「うわああああああ!!」
一瞬死を覚悟するほどだったが、運が良かったのか降ってきた矢は掠める程度で一本も身体に突き刺さるようなことはなかった。
「助かった・・・」
致命傷間違いなしかと思われた状況だっただけにこれには安堵の表情を浮かべる。ただ、至る所からジワジワと血が出てきており、長期戦になると間違いなく不利になる。
「どうだいシリル。その状態ではまともに動けないんじゃないのか?」
ゆっくりと身体を起こすとバリーザウィッチはそれを静かに待っていた。その余裕がムカつくが、今はありがたいと思うことにしておこう。
「不意の罠が不発だった割には随分と余裕だな」
「何を勘違いしているんだい?私は君を殺すために今の罠を仕掛けたのではない。君の動きを封じるために使用していたんだよ」
「??どういうこと?」
「言っただろ?私の目的は君を天界に連れて行くこと。こんなところで殺すわけがないじゃないか」
言われてみればそうだった。こいつはそのためにわざわざ本来の世界とは別の世界にやってきている。その目的を自ら潰すことなどありえない。そう考えると、まさかさっきのは計算して矢の落ち方を調整していたってことか?
「これは・・・」
この場での戦いは避けた方がいいかもしれない。相手に有利なこの場所での戦いはあまりにも不利。実力に圧倒的な差があるならそれを覆せるのだろうが、それも互角・・・いや、なんなら相手の方が力も勝っているかもしれない。
「全く・・・舐めた真似しやがって・・・」
うまく相手をこの場から外へと誘い出す術はないかと思考していたところ、天井にハマっていたレオンがようやく抜け出たらしく、隣へと並ぶ。
「今のチャンスで俺たちを仕留めなかったこと・・・後悔するよ」
「後悔?それをさせてくれる実力が君たちにあるとは思えないが・・・」
なおも余裕綽々なバリーザウィッチの言葉にヒートアップしているのがわかるレオン。ただ、ここで突っ込ませるわけにはいかない。
「ダメだレオン。ここじゃああいつに有利すぎる」
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