第2楽章〜白衣の学士と四色の騎士〜
第16節「翔のいない日々」
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レータを使い、訓練に励んでいた。
「……シミュレータでの連携は上手くいったけど……」
「結局LiNKERが無いと出撃はさせてもらえないのデスよね……」
戦力外なら戦力外なりに、自分たちに出来る事を探した彼女達の答え。それは訓練を重ね、少しでも強くなる事だった。
フロンティア事変の最終局面、フロンティア脱出の際に鹵獲したエアーキャリアーから得たデータにより、トレーニングルームの立体映像投射装置がより高性能になっていた。
F.I.S.時代の訓練と同じように、立体映像でありながら、攻撃を受ければ衝撃が伝わる。より実戦に近い訓練が可能となった事は、装者たちの戦力を格段とランクアップさせている。
しかし、それでも切歌と調には足りない。
いくら訓練を重ねても、それはあくまでバックファイアが出ない範囲の運用が前提だ。必殺技は使えず、アラームが鳴ればギアを解除し訓練を終えなければならない。
やはり2人の適合係数では、戦場に立つことを許されない。それを誰より知っているからこそ、やるせない気持ちが募っていく。
「LiNKERさえあれば……。なんとかできないデスかッ!」
「でも、ここにはドクターがいない……」
「……あんな奴でも、役に立ってたんデスね」
LiNKERの開発者、ウェル博士はフロンティア事変の収束と共に、日本政府により捕縛、連行されてしまった。
生物学に精通していたウェル博士による改良型のLiNKERは、発明者である了子の手のよるものを遥かに凌駕しており、彼が居ない今、切歌と調のために調整されたLiNKERは用意出来ない状態なのである。
「……ねぇ切ちゃん。LiNKERってわたしたち以外に使ってる人はいないのかな?」
「今いる先輩たちは皆LiNKERなしで適合してるデスよ」
厳密には奏がそうなのだが、切歌も調も、奏がギアを纏う姿を一度しか見ていないため、知る由はない。
そして、この会話を立ち聞きしている人影がある事にも……。
「うん……でも、わたし達用に調整されたものじゃなくても、誰か使ってる人がいれば、分けてもらえるかもって──」
「そうデスね……。なら後で聞いてみるデスッ!もしかしたら訓練中の誰かとかいるかもしれないデスしッ!」
「……うん、そうだね」
「……ったく、ヤンチャな後輩が出来ちゃったねぇ」
そこまで聞くと、奏はこっそりとトレーニングルームを後にする。
(今、残っているLiNKERね……。薬害洗浄の技術は上がったみたいだけど、薬そのものはまだ副作用が残ったまま……か。さて、どうしたもんかね)
トレーニングマシンを使い始めた切歌と調の声を背に、奏は何やら考え始めるのであった。
ff
S.O.N.G.本部の研究室。ここ数日、櫻井了子は殆
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