第2楽章〜白衣の学士と四色の騎士〜
第16節「翔のいない日々」
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まで言えるなら、心配要らないじゃないの」
「ああ。お陰で弱気も吹き飛んだ。ありがとう、マリア」
マリアが離れると、翼は目元を指で拭い、スポーツドリンクを一気に飲み干す。
「私が信じず、誰が信じるのだ。翔は無事だ。必ず戻る!」
「そうこなくっちゃね。さあ、捜索を続けましょう」
そう言ってビルの方へと向かおうとした時だった。
向こうの方から、ツェルトがこちらへと向かって来るではないか。
それも、何やら慌てた様子だ。翼とマリアは顔を見合わせる。
「2人とも、大変だ!!」
「どうしたのツェルト?」
「何か見つかったのか!?」
「そ、それが……にわかには信じられないようなものが見つかってな……」
首を傾げる2人を連れて、ツェルトは現場の中心地へと向かった。
「こ、これは……?」
「春谷さんが見つけたんだ。ここだけ、地面のコンクリートが他と違う色になっているらしい。しかも、綺麗な円形を描いてな」
「どういう事なの?」
「考え難い事ではありますが──」
首を傾げるマリアに、春谷は息を飲みながら応える。
「コンクリートを破って、地面に大きな穴を空けた後、それを綺麗に埋め直した……としか考えられません」
「まさか、これを翔が!?」
「いえ。コンクリートは綺麗に固まっています。生弓矢で突貫したにしては不自然です。……ですが、色が変わっているのはおそらく、コンクリートの下にある土や砂が混ざっているからではないかと」
春谷の言葉に、翼のみならずマリアとツェルトも困惑する。
オートスコアラー達は、例のアンプルのようなもの──エルフナイン曰く、テレポートジェム──を使用して撤退する姿が、映像が途切れる直前のカメラに映っている。
果たして、一体何故このような跡が出来ているのだろうか?
疑問ばかりが浮かぶ中、調査部の一人がタブレット端末を手に、春谷の方へと向かってきた。
「春谷さん、ここの地下には下水道が通っているようです」
「下水道……?という事は、つまり……」
「翔は地下に逃げた……そういう事ですか!?」
「不明な点は多いですが、現状、それが一番可能性として大きいかと」
「そうか……。やはり、翔は生きている……ッ!」
翼の表情に、完全に光が戻る。
少なくとも弟が、ビルの倒壊に巻き込まれる前に離脱していた事が分かった。それだけでも大きな進展だ。
「すぐにこの付近一帯の下水道をマップ化してくださいッ!私は捜索チームを編成しますッ!」
「了解ッ!」
春谷の支持を受け、調査部のエージェント達がテキパキと動き始める。
マリアとツェルトは、希望を取り戻した翼を見ながら、コツンと拳を合わせるのだった。
ff
調と切歌はトレーニングルームのシミュ
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