第2楽章〜白衣の学士と四色の騎士〜
第16節「翔のいない日々」
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だに翔は見つかっていない。まるで、突如として現場から消えたように。
「手がかり、意外と近くにあったりして。灯台デモクラシーって言うし」
「それを言うなら“灯台もと暗し”、だ。大正デモクラシーと混ざっているぞ」
「もう瓦礫は殆ど撤去されてるんだよ。でも、まだ何か見落としてる可能性はゼロじゃない、か……」
流星の言葉に、飛鳥はすかさずツッコミを入れる。
しかし、その言葉があながち間違ってもいない事は、誰も知らない。
「よぉし決めたぜ!」
突然、紅介が声を張り上げ、一同は驚きながら彼の方を見る。
「あいつが戻ってくるまで、俺達があいつの分まで皆を守らねぇとな!」
「でも、どうやって?」
「決まってんだろ〜。特訓すんだよ!あいつが戻ってくるまでに身体鍛えときゃ、そのうちS.O.N.G.にスカウトしてもらえるかもしれねぇだろ!」
なんとも紅介らしい、愚直で突拍子もない提案だった。
飛鳥は呆れて他の面々がツッコミを入れるのを想像し、溜息を吐く。
しかし──
「僕は賛成。何もしないより、できる事をしたい」
「なら、僕も」
「恭一郎!?流星まで!?」
「調ちゃんが頑張ってるのに、守られてるだけなんて納得できないよ」
流星が兄へと向けるその眼差しは、いつになく真剣なものだった。
それまで僕は、何処か納得出来なかった。こんなにも優しくて、他人を思いやれる娘が戦っているのに、どうして僕にはその資格がないんだろうって。
もしも、僕にもギアを纏う資格があるのなら、君を守るため、惜しまずこの身を差し出すのに……って。
でも……チャリティーライブの夜。調ちゃんと切歌ちゃんが装者であり続ける理由を知った時、それが思い違いだった事に気付いた。
2人は誰かに言われたからとか、使命感だとかでシンフォギアを纏っているんじゃない。
自分の意思で、守りたい人達を想って戦っているんだって。
それを知って、少しだけ考えが変わった。
大切な人達のために戦う調ちゃん。そんな彼女を守れる男になりたい、って。
その為には、今のままじゃ足りない。出来る事がある筈だ。
「翔や純、それにツェルトさんもきっと、この気持ちを噛みしめて踏み出したはず。だから、僕は……」
「流星……」
兄さんの瞳が揺れる。反論するだけの理屈は無いようだ。
他の皆もきっと、僕と同じ考えでいる。
しばらく唸った末、やがて兄さんは溜息を吐いた。
「お前の言う通りだよ、流星。せめて、女の子1人抱えて逃げられるくらいには、鍛えてても損はなさそうだ」
「兄さんそんな事考えてたの?」
「あ、あくまでものの喩えだッ!」
慌てて訂正する兄さん。お堅い顔してるけど、何だかんだで気はあるみたいだ。
「そこま
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