第114話『師弟対決』
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2回戦にて、晴登が利用した未来予知紛いの何か。それなら無理やり風香の隙を作り出すことはできよう。
もしあれが本当に晴登自身の力であるならば、それに頼るのは問題あるまい。もっとも、使えればの話だが。
「あの時は確か──」
「今が試合中ってこと、忘れてない?」
「やべっ!?」
思考に耽っていて、風香の接近に気づくのが遅れてしまった。
飛ぶように横に避け、何とか攻撃をかわすことには成功する。
「さすがに試す時間はないか……」
使い方も用途も明確でない技を扱うには、時と場合が悪すぎる。大会中ではなく、もっと早くに知ってさえいれば……。
「もう降参する?」
苦しむ晴登に向かって、風香が腰に手を当てながらそう告げる。油断していないとはいえ、余裕そうな表情だ。そして挑発するかのように口角を上げている。君の力はその程度なの、と。
──まだ期待しているというのか。
所詮、晴登は魔術初心者。多少の器用さと経験で補ってはいるが、まだまだひよっこに相違ない。
そんな晴登の弟子入りを快諾してくれた風香。彼女の瞳に落胆の色は見えなかった。誰から見ても勝ち目がないこの状況でもなお、晴登に戦えと言っているようである。
「……降参なんてしませんよ。俺はまだ、戦えます!!」
強がり、見栄、虚勢。何とでも言うがいい。ただ晴登には守りたい約束があり、それを結んだ相手がいる。負けるとしても、最後の一瞬まで抗わなければならない。自分に残された、僅かな魔力を絞り出してでも──
『──よく言った』
「……は?」
突然、頭の中に誰かの声が響いた気がした。かと思ったその瞬間、晴登を覆うように風が吹き荒れる。
「な、何……?!」
いきなりの事態に混乱する風香。しかしそれは渦の中にいる晴登も例外ではない。これは自分でやっている訳ではなく、勝手にこうなっているからだ。理由も理屈もわからない。
「どういうこと? 魔力はもう少ないはず……」
晴登に残された魔力では、ここまで風を操ることはできないはず。まさかまだ力を隠していたのかと、風香は身構える。
──渦が四散し、そこには晴登が立ち上がっていた。
あれだけの風を起こしたというのに、魔力切れの兆候はない。それどころか、不思議と身体から力が湧いてさえいる。まるで、何かに力を貸してもらっているかのように。
「これは……」
手を握ったり開いたりして、身体の具合を確認。特に異常はない。
どうやら全回復とはいかないが、もう一度風香と対峙できるくらいには力が戻っている。……それだけわかれば十分だ。
「……ん?」
意気揚々と
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