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非日常なスクールライフ〜ようこそ魔術部へ〜
第114話『師弟対決』
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回避した。その後フィールドに頭から突っ込んだ訳だが、風を使った着地で器用に受け身をとる。もはや慣れたものだ。


『間一髪! 三浦選手、一度場外へと飛ばされながら何とか復帰しました!』


「……驚いた。あんなの舞くらいしか戻って来れないと思ってたのに。さすがだね」

「ど、どうも……」


風香が驚きと賞賛を露わにする一方で、晴登は冷や汗を拭いながら大きく息をついた。
それでも心の臓は未だに動悸を止めず、同様に手の震えも継続している。

危うく開始直後で散るところだったが、ギリギリで踏みとどまった。本当に寿命が縮む思いである。

しかし、これでようやくスタートラインに立ったに過ぎない。勝負はこれからだ。今度こそは先手を取らなければ。


「"疾風の加護"!」


風香の攻撃を警戒しつつ、脚全体に魔術を付与。これで一時的にだが、晴登の速度は飛躍的に底上げされる。

地面を思い切り踏み込み、疾風の如く風香に迫る。その動きを目で捉えることができる魔術師が、果たしてこの会場に何人いるのだろうか。


「"烈風拳"!」


そんな速さから放たれる風を纏った鉄拳。並の相手であれば一撃でノックダウンも夢ではないだろう。が、


「ふっ!」

「おわっ!?」


拳の軌道を即座に見切った風香によって受け流され、逆に腕を掴まれて地面へと投げられてしまう。

なんという洞察力。だがこの程度ではへこたれない。晴登と同系統かつ格上の魔術師である彼女が、晴登の動きについて来れるであろうことは織り込み済み。であれば当然二の矢も用意している。


「まだまだ!」

「っ!」


投げ飛ばされた勢いを風で緩和しつつ、すぐに姿勢を立て直し、両腕を振るう。


「"鎌鼬"!」

「"旋刃(せんじん)"!」


"鎌鼬"が腕を使った斬撃なら、風香の"旋刃"は脚を使った斬撃と言うべきか。回転するように振るわれた彼女の脚は見事風の刃を砕いた。


「そこだっ!」

「!!」


しかし晴登は、風香が足技を使ったその瞬間を見逃さない。加護の出力を上げて一気に突っ込む。

彼女の魔術は脚が主体。つまり身体を支える部位を武器にしているのだから、技と技の間隔には体勢を整えるだけの時間が必要なはず。
よって現に右脚を振るった彼女が、晴登に反撃する術はない。そこが攻撃のチャンスとなる。これが晴登が密かに建てていた作戦だった。

この隙を逃すな。無防備な横腹に全力の拳を──


「"旋刃"!」

「なっ!?」


なんと風香は晴登の動きを見てから、振るった右脚の遠心力を利用して軸足を回し、2回転目に突入したのだった。
回転したことで威力を増したその一撃を、
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