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八条学園騒動記
第六百三十九話 踊ることもその五

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「何があってもね」
「否定するものか」
「紀元前の時点を基準としてね」
 この時代とは技術も生産力も全く違うがそれでもというのだ。
「宇宙の時代になって久しくて」
「富も比べものにならないな」
「紀元前、バビロン捕囚の頃を一としたら」
「今は何億あるか」
「そこまで違っていても」
 それでもというのだ。
「贅沢はね」
「あの時代が基準か」
「あの頃はちょっとな贅沢とか間違いがね」
 世界全体が貧しく危険に満ちていたからだというのだ。
「大変なことになったし」
「ましてヘブライは荒野だったしな」
「痩せていてね」
「エジプトとは違ってな」
「エジプトなんてね」
 モーゼと因縁のあるこの国はというと。
「もうね」
「ナイル川の富でな」
「物凄く豊かだったけれど」
「ヘブライは違ったな」
「荒野でね、ちょっとしたミスがね」
 個人のそれがというのだ。
「大変なことになったけれど」
「今は違うな」
「宇宙の時代でね」
「もう富もな」
「とんでもないものだけれど」
 それでもというのだ。
「考えはね」
「あの頃から変わらないか」
「そうなのよ」
 これがというのだ。
「本当にね」
「アナクロだな」
「だから髪の毛も髭も剃らないのよ」
 それもしないというのだ。
「ユダヤ系の人はね」
「伸ばすだけか」
「だからユダヤ系の男の人は」
「髭があるな」
「今じゃムスリムの人も剃るけれど」 
 このことはサハラも同じである。
「けれどね」
「それでもだな」
「ユダヤ教ではね」
「髪は切らないでか」
「お髭もね」
「剃らないか」
「女の人も生えるけれど」
 それがうっすらとであってもだ。
「それもね」
「剃らないか」
「剃ったら駄目ってね」
 その様にというのだ。
「言われるのよ」
「本当に紀元前のままか」
「基準はね」
「サムソンだな」
 ギルバートは鳥の皮の焼いたものを食べつつ言った。
「髪の毛を切るとなると」
「あの人の力の源ね」
「弱くなったな」
「そうなっていたわね」
「あれで目も潰されてだ」
 サムソンはそこまでされて力を失ったのだ。
「力がなくなったな」
「ええ、ただね」
「髪の毛はまた伸びるからな」
「敵はそれを見落としていて」
 ペリシテ人達はだ、この時デリラという美女を使ってサムソンを篭絡し彼の秘密を聞き出してそうしたのだ。
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