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ワインレッドの上司
第二章
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「残りは中村君が飲んでね」
「それじゃあ」
「けれど程々ね。あとね」
 ここでだ、理佐は。
 中村に普段とは違うとろんとした色気に満ちたそうした意味で女性らしい物腰で彼に優しく仕事のことをアドバイスしていった、そしてだった。
 彼にだ、こうも言った。
「仲良くしている女の子いるのかしら」
「いえ、まだ」
「そうなの。私もいないの」
 理佐はテーブルの上にうつ伏せになってそこから彼を見て言った。
「今はね」
「そうですか」
「ちょっとそのお話聞いてくれるかしら」
「僕でいいですか」
「ちょっとだけね。お部屋帰ってシャワー浴びて寝る時間あるわね」
「それはやっぱり」
「それまでの間ね」
 理佐はそのとろんとした様子で濡れた目で彼に自分の恋愛観やこれまでの恋愛経験のことを話した、そして。
 時間、十時半になるとだった。
「じゃあ送るわ」
「いえ、大丈夫です」
「そうはいかないから。お部屋までね」
「帰り主任お一人ですから危ないですよ。酔ってますし」
「だからなの」
「それじゃあ玄関までで」
「そうさせてもらうわね」
 すっかり酔ってけだるくなっている動きでだった。
 理佐は立ち上がってそのうえで中村を玄関まで送った、そして。  
 彼はそこからは歩いて下宿先に帰った、部屋に入るとシャワーを浴びて歯を磨いて寝た。そして翌日出勤すると。
 理佐はいつもの顔でだ、こう言った。
「おはよう、中村君」
「おはようございます、主任」 
 中村は笑顔で挨拶をした、だが。
 そっとだ、理佐は中村に近寄って彼に囁いた。
「昨日は酔ってたから」
「だからですか」
「私お酒に弱くて。だから昨日は迷惑かけたわね」
「いえ、別に」
 中村は恥ずかしそうに顔を赤らめさせて言う理佐に微笑んで答えた。
「僕はよかったと思いますよ」
「よかったって?」
「あの時の主任も素敵でしたよ」
「素敵!?だらしなくて我儘でも」
「優しくて気配りしてくれて色々教えてくれて」
 普段のクールで怒らないが仕事のことは教えてくれるにしても淡々としていてかつ何処か事務的な彼女と違ってというのだ。
「素敵でしたよ。普段殿ギャップもよかったですし」
「そ、そうなの」
「だからまた今度飲みましょう。いいですか」
「それは私が言う言葉でしょ」
 上司としてだ、理佐は中村に言い返した。
「だから」
「それはですか」
「私が言うわ。では機会があったらまたね」
 一緒に飲もうとだ、理佐は中村に言った。そして二人は時々仕事帰りに一緒に飲む様になり理佐はその時はいつも別の一面を見せていた。
 そうしていって理佐は次第に中村との距離を狭め中村も拒まず。
 二人は結婚した、その頃にはもう二人の絆は出来上がっていた。ワインがきっかけ
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