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ワインレッドの上司
第一章
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                ワインレッドの上司
 中村義孝はこの時上司の後藤理佐に強く言われていた。
「いい?今日はね」
「はい、残業ですよね」
「そうしてもらうわ、今はね」
「大変な状況ですからね」
「そう、だからね」
 理佐は丸眼鏡をかけた顔で言った、理知的な感じで黒髪は後ろで束ねている。一五八程の背を膝までのタイトスカートの地味な色のスーツと白いブラウスで覆っている。そのうえで細面の童顔で黒髪をショートにしている一七五程の痩せた身体の彼に言った。当然彼もスーツである。
「今日はね」
「残業して」
「最後までやるわよ」
 その仕事をというのだ。
「いいわね」
「わかりました」
 中村は理佐の言葉に頷いてだった。
 二人で一緒に残業をして仕事をしていった、そして八時になるとだった。
「終わりましたね」
「ええ、お疲れ様」
 理佐は仕事が終わって喜ぶ中村にクールな顔で応えた。二人共それぞれの机に座って仕事に励んでいた。
「二人でやったらね」
「一人だと大変な仕事もですね」
「この通りよ」
「すぐに終わりますね」
「ええ、それでこれからどうするの?」
 理佐は仕事を片付けながら自分の仕事をそうしている中村に問うた。
「お家に帰るの?」
「はい、下宿先に」 
 中村は正直に答えた。
「そうします」
「だったらね」 
 理佐は彼の返事を聞いて言った。
「一緒に晩ご飯どうかしら」
「主任とですか」
「これからね」
 こう言うのだった。
「どうかしら」
「悪いですよ、コンビニで買って」
「それだと身体によくないわ。私のマンション会社の近くにあるから」
「えっ、主任のお部屋で」
「遠慮はいらないわ。こう見えても私お料理得意だし」
「悪いですよ」
「だから遠慮はいらないわ。私がいいって言ってるから」 
 それでとだ、強引にだった。
 理佐は中村を自分の部屋に入れてそうして自分が作った料理を振舞った。それはスパゲティとサラダそれにソーセージだったが。
 まずはそれぞれの料理を一口ずつ食べてだ、中村は私服に着替えてエプロンを付けて料理を作った理佐に言った。
「美味しいです」
「そう。それは何よりよ」
 理佐は中村に微笑んで応えた、今の理佐の服はエプロンの下はグレーのセーターに白のスラックスというものだった。
「沢山食べて」
「はい、それじゃあ」
「中村君のアパートもお話聞いたら近くだし」
 理佐は微笑んでこうも言った。
「歩いて帰られる位に。だからワインどうかしら」
「お酒もですか」
「程々でね。明日もお仕事あるし」
「だからですね」
「少しだけね。どうかしら」
「そちらも遠慮は駄目ですね」
「ええ、飲みなさい」
 こう言ってここでも強引にだった。
 理
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