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同盟上院議事録〜あるいは自由惑星同盟構成国民達の戦争〜
【著名な戦闘】ヴァンフリート4=2防衛戦
【著名な戦闘】ヴァンフリート4=2防衛戦(9)〜セレンゲティ氷原大機動戦(上)〜
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「はっ!無論であります」
フランダンは快活に笑みを浮かべる。
「うむ!大尉の言やよし!であれば諸君が手に入れた物資など報酬のごく一部になるであろう!
我々は前衛梯団の行軍状況を確認しよう、叛徒を見つけ次第早急に撃破できるよう体制を整えようではないか!」
伝令将校が立ち去るとフランダンはキルヒアイスに鋭い視線を向ける
「卿は士気を崩壊させる気かね?鹵獲品は彼らの生命線だぞ!」
「我々の攻勢作戦の前提は叛徒の部隊が準備を整えず、敵部隊をたやすく数ですり潰せる前提で。正面から準備を整えた敵とやり合うのであれば我々は……」
キルヒアイスは言葉を切り、ラインハルトに視線を向けるがラインハルトは構わない、というように軽く手を振った。
「我々は――攻撃の機を逸していたのです。決定的な優位は我らにありません。犠牲と危険に相応する戦果の達成を求めるのであれば目先の鹵獲品に目を奪われず、部隊を集結させ慎重な偵察と後方の安全の確保に集中するべきかと」
いうな、というかのようにフランダン伯は眉間を抑える。
「それを周知徹底してみろ、我らは自身の財産を投じているのだぞ?
その意味を――」
ワルキューレから飛び降りた別の将校が司令部の天幕に駆け込む。
「伝令!緊急であります!リューネブルク隊、敵部隊に対して総攻撃を開始するとの由!」
フランダンが目を見張る。
「総攻撃だと!?」
フランダンが伝令将校と言葉を交わしているのを尻目にラインハルトはキルヒアイスへ囁いた。
「リューネブルクの方も激戦か……キルヒアイス、お前の言う通りだ。俺は判断を誤ったかもしれないな」
とんでもない泥沼に足を捕らわれてるのかもしれん、とラインハルトは自嘲するように笑った。
「ご安心ください……少なくとも直轄艦隊陸戦隊一個旅団はあなたのものです、私もそうです」
「ああ……俺は10万の兵の片手で指揮できることになっている!しかし、その実、1万にも満たぬ兵で残りの有象無象の面倒を見るしかない!忌わしい有様だ!リューネブルクの輩もこうなのか……?」
ラインハルトの豪奢な金髪もアイスブルーの瞳が問いかける問いにも意に介さず、ヴァンフリート4=2はただ極寒の純白が彼らを包み込んでいた。
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