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同盟上院議事録〜あるいは自由惑星同盟構成国民達の戦争〜
【著名な戦闘】ヴァンフリート4=2防衛戦
【著名な戦闘】ヴァンフリート4=2防衛戦(9)〜セレンゲティ氷原大機動戦(上)〜
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た肩をコツコツと叩く。

「タバル方面に出なかった理由は単純だ、こちらでは運動戦を仕掛ける」
 タバルは激戦の最中である。だがクレーベル中佐が送った情報は既に総司令部にも届いていた。

「運動戦?」

「敵は貴族所領の軍を使っている、それも臨時の陸戦隊を編成してな。奴らはこのアルーシャ渓谷を通る前にセレゲンティ大氷原を通るのだ。極地から極地へ移動する中でな」

「それはそれは」
 だからティアマト軍――義勇農騎兵(ヨーマン)を連れてきたのか、とマシェルは呟いた。
 彼はけして愚者ではない。愚物の将校は――人民元帥と側近、そして労兵評議会幹部らの判断によるものだが――ヴァンフリートにおいて大黒柱を食い荒らす白アリとして体よく追いやられてしまう。ましてや准将まで上り詰めイゼルローン攻略作戦の使う基地の警衛を任せられヴァンフリート軍の精兵の証――突撃工兵の名を冠した師団を指揮しているのだ、同盟軍人としても十年近く籍を置き、相応の教育と最前線勤務を経験しているエリートである。

「はぁん、手抜きをなさりたいと」
 アルレスハイムのヨギヘス大佐はニタリと笑った。ヴァルシャワ労兵レーテ結成記念独立連隊ポスポリテ・ルシェニェ――【コルネリアス帝の大親征】の折にシュラフタ政府が崩壊し、その残骸を率いて抵抗運動を続けた二大勢力――ジェルジンスキー率いるアルレスハイム義勇労農軍の末裔であり、一種の”建国神話”を担う部隊だ。
のちに黄金の自由を結成メンバーとなったリープクネヒト女子爵率いるアルレスハイム防衛評議会国内軍とは別に活動した

「要するに戦術とは弱いものをいかにいじめるかだ」
 義勇農騎兵連隊戦闘団”ウルク・ハイ”を指揮するアルフメド・グラスゴー大佐も同調する。
「つまり戦上手と言う奴は――その気になればいくらでも卑しくなれる人間ということだ」
 将校達は笑いさざめく。
 あぁその通りさ、とフォルベックもニタリ、と人の悪性が籠った笑みで返す。
「直轄領――正規軍の陸戦隊や陸戦専科部隊と当たる気はない、真面目に戦争をするためには畢竟、如何に手を抜くかが問われるものだ」
 帝国軍との直接戦闘を避け、それに代わり段列や仮設施設――通信中継設備やら二手に分かれた軍の為の物資を融通するための補給基地やら――へのゲリラ攻撃に従事するよう部下に命じた。
 フォルベックは装甲服に貼り付いた霜を拭う間もなくスパルタニアンに飛び乗り、次の目的地へと向かう。彼は自由惑星同盟常備地上軍(レギュラーアーミー)の少将であった。




 
 数km後方から重火力隊が装甲車両を狙い高出力レーザーを発する。
 幾つかの装甲車両が爆ぜ、兵達が消し飛ぶ。
 警戒についていた兵達の背後から慌てて車両から白兵隊も降りる。
 そして二輪
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