第三章
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「好きな色も食べものもね」
「そうよね。青が好きでね」
「お刺身とクリームシチューが好きでね」
「基本変わってないわね」
「お父さんにもお母さんにもお友達にも言われるわ」
「いや、久し振りに会ってね」
佐和子は奈緒に言った。
「大きくなってたからね」
「それでなの」
「別人みたいだから」
背があまりにも高くなっていてというのだ。
「もう中身もね」
「変わったって思ったの?」
「そうだったわ、けれどね」
それがというのだ。
「中身はね。色々変わったけれど基本的なところは」
「変わってなかった?」
「そう思ったわ。考えてみたら」
佐和子はビールの缶を空けて飲みつつ言った。
「人間外見は変わっても中身はね」
「変わらないの」
「本質はね。それに六年あったら」
それだけの歳月があればというのだ。
「十代だったら大きくもなるわね」
「男の子なんか私よりずっと大きくなった子いるわ」
「そうよね。そんなに驚くことはなかったわ」
妹との再会の時に驚いた自分を恥ずかしいと思いつつ述べた。
「今思うと」
「そうなの」
「ええ、ただあんた色々成長したけれど」
外見だけでなく内面もだ、また一緒に暮らす様になってわかった。
「本当に基本的なところはね」
「変わってないのね」
「色や食べものの好みだけでなくて」
妹にさらに言った。
「アニメや小説好きで可愛らしいもの好きなところも」
「そういうのずっと好きだから」
「それでこう思ったしね。外見は違ってもあんたはあんたね」
「それ言うとお姉ちゃんもよ。黄色が好きね」
妹は彼女の半ズボンを見て言った。
「食べものはラーメンとほうれん草好きで」
「あんたもラーメン食べるでしょ」
「お姉ちゃん程好きじゃないから。あとお家の中じゃいつも半ズボンだし」
「冬でも動きやすいからね」
「そこも変わらないわね」
「つまり二人共基本は変わってない?」
「そうじゃない?お姉ちゃん胸は大きくなったけれどね」
姉のそこも見て言った。
「中身はね」
「変わってないのね」
「基本的なところはね」
「じゃあお互いってことかしら」
「そうね、外見は色々変わっても」
「他に変わった部分はあっても」
「人間基本的なところはあまり変わらないってことね」
姉に笑顔で言った、そしてそれから二人でゲームをした。それは二人が実家にいた時によく対戦した格闘ゲームの新作だったが二人はキャラの好みも戦い方もそれぞれその頃から変わってはいなかった。
急成長 完
2021・11・19
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