提督のBlackOps遍
戦闘〜救出班の場合〜
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けれど、夕立は金剛さんの事も好きだし、無理矢理提督を奪えない程度には力の差も理解してる。普段のアホの娘みたいな発言や行動は、提督にあざとくアピールする為の演技だったりするから、それなりに計算高いんだよね。そんな夕立にとって提督に敵対する相手なんて排除するべき存在だし、相手をする事すら面倒だと思っている節がある。
「ここの提督さんは何処かな?」
「簡単に見つかる様な場所には隠してないんじゃない?例えば……地下室とか?」
夕立と会話を交わしながら、壁や床を調べる。隠されたスペースとかがあるなら、ノックをすれば反響音が違う。場所が判ればアプローチの仕方も何となくは解る。僕達の鎮守府も提督と妖精さん達の趣味で色んな仕掛けだらけのからくり屋敷みたいになってるからね。
「時雨。ここ、多分下に降りるハッチあるよ」
「どれどれ……うん、確かに怪しいね」
他の床はくぐもった音がするのに、夕立が見つけた辺りはコンコンと響く音がする。これは空間がある可能性が高い音だ。
「どうやって開ける?」
「簡単、ぶち抜く」
そう言って夕立はウェストポーチから粘土状の物を取り出して床に貼り付けた。夕立がリモコンのボタンを押すと、ボンッと小さな音がして床に穴が空いた。
「C4なんてよく持ってたね?」
「川内さんにね。何が起こるか解らないから色々持っておけって」
川内さんは自分の教え子をどうする気なんだろう?特殊部隊でも作る気なのかな?まぁ、今回は助かったのは確かだけど。穴の空いた床からは地下へ降りる階段が伸びていて、下からはぼんやりとした灯りとすえた臭いが漂って来ている。
「……行こう」
「うん」
意を決した僕達は、階段へと足を伸ばした。
「これは……」
「胸糞悪い」
地下にあったのは予想通り、牢屋だった。打ちっぱなしのコンクリートに、鉄柵。ただそれだけの、ベッドやトイレすらない檻の様な牢屋の片隅に、『それ』は転がっていた。
両腕は背中に回されて拘束され、足は膝を曲げた状態で腿と脛をロープで縛られている。肋が浮いている所から見て、餓死しない程度にしか食事も与えられていないみたいだ。当然、拘束された状態の上にトイレも無いのだから糞尿は垂れ流し。臭いの正体はこれだ。全身青アザだらけで、薄く斬られた様な傷もある。顔もボコボコに変形する程殴られていて、元の顔が判別出来ない程だ。幸い、肋が動くのを確認できたから、息はある。
「酷い」
「早く助けよう」
そう言って夕立はC4を取り出したポーチからピッキングツールを取り出して、牢屋の鍵穴に突っ込んでカチャカチャやりだした。
「それも川内さん仕込み?」
「…………まぁね」
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