提督のBlackOps遍
戦闘〜救出班の場合〜
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「んじゃ、行動開始だ」
提督の号令で、僕と夕立は乗ってきた船を離れる。僕達2人の任務はこの鎮守府の提督を発見・救出する事。提督と赤城さん達が派手に暴れて、そっちに敵を惹き付けてくれている間にコッソリと侵入して探し出す。
「夕立、大丈夫かい?」
夕立は鋭い目付きのまま、無言でコクリと頷く。あまり良くない傾向だ。普段は五月蝿い位によく喋る夕立が黙り込んでいる時は、相当頭に来てる時なんだ。こういう時は大概、暴走しちゃったりやり過ぎたりする。ボクが様子を見て、ブレーキ役にならなくちゃ。そんな事を考えながら壁沿いに進んでいると、遠くの方から爆発音がする。それに立て続けに発砲音。そこに混じって艦娘の砲撃音らしき音も聞こえてきた。
「派手にやってるみたいだね、提督は」
「陽動だから当たり前でしょ?」
不機嫌そうにぼやく夕立。普段語尾に付いている『っぽい』っていう口癖も無い。……まぁアレは提督に可愛いって言われたから続けてるだけで、提督の前以外ではもう使わなくなっているんだけど。そんな事を考えながら壁に沿うように身体を進める。提督と青葉が視察と称して鎮守府内を歩き回って調査した結果、警備が異様に厳重な建屋があったらしい。
「ここかな?」
「多分ね」
行き着いたのは、工廠の側にある倉庫。予備の艤装や資材、工具なんかを仕舞う関係上警備を置くのは自然だけれど、この厳重さは異常だ。
『入り口に2人、暗がりにも数人控えてるな……それに、サーチライトに赤外線センサーもありそうだ』
確かに、ただの倉庫にこの警備は厳重過ぎる。問題はどうやって、この警備を破って中に侵入するかだけど……
「って、夕立!何する気なの!?」
どうしようか悩んでいる間にズカズカと正面の出入り口に歩み寄っていく夕立。
「誰だ!止まっ……」
瞬間、出入り口に立っていた2人の見張りに駆け寄って足払い。見事に掬われて転んだ娘(背格好から見て恐らく駆逐艦だ)の顔面を、夕立は躊躇無く踏み抜いた。ぐちゃっ、という肉が潰れた音がして、2人はピクリとも動かなくなった。
「殺っちゃった?」
「死んでないよ、多分ね。でも鼻骨は粉々」
そういう所、夕立は一切の手加減が無い。艦娘は人に比べて頑丈だから、って。
「うわぁ……御愁傷様」
「それより、早く入るよ」
「あ、待ってよ夕立ぃ」
顔が潰れた見張りのポケットをまさぐり、そこからカードキーを抜き取る夕立。それを扉のロックに通すと、カチリと音がして扉が開いた。
夕立はシンプルな物の考え方をする娘だ。『好きな物(者)はどんな事をしても手に入れる』というちょっと獣じみた考え方だけど。それでいくと提督は最優先で手に入れたい者のはずだ
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