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Dies irae~Apocalypsis serpens~(旧:影は黄金の腹心で水銀の親友)
第九話 魂の総量はシュピーネ並だから仕方ない
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、アルフレートの体が霧散し始める。闇霧となり溶け込んでいくかのようにその場から消え去った。
ヴィルヘルムからしたら馬鹿にされたも同然だろう。しかし、ヴィルヘルムは特に怒りを見せるでもなく、寧ろ嗤っていた。

「ハッハハ、オイオイそいつは俺好みな事だな。だったら楽しみに待つことにしようじゃねえか」

上機嫌になったヴィルヘルムは嗤いながら次の戦局に至るまでに自分に出来ることを果たすことにしようと思い始めた。

「ずいぶん愉快なことじゃねえか。そう思うだろクリストフ」

手始めに聖餐杯の話を聞こうじゃないか。そう思いながら吸血鬼の一夜は明ける。



******



―――海浜公園―――

「ガハッ、ゴホッ!……あ〜死ぬかと思った。逃げてたら沖の方まで流されてたとかマジ冗談じゃ無いでしょ」

アルフレートは濡れ鼠となった状態で海からあがる。元々髪の色が灰色のような色なので似合っていると言えば似合っていた。本人にとっては…と言うか誰であろうとも不名誉なことだろうが。

「それにしても危なかった。粒子の状態じゃなかったら絶対死んでた。ヤバイヤバイ」

アルフレートは自身の粒子を利用して、あの戦闘、いや虐待から逃れていた。その方法自体は単純で、密度を変えて抜け殻や風船のように外側だけ残して逃げたのだ。

「せめて創造出来るようになってから会うべきだったかな。いやでもそれだと五つ目だから間に合わないか」

ともかく服だ服。そう言ってアルフレートはずぶ濡れな上に傷だらけ血まみれの自分の服を替えようと歩き出す。
考えれば分かることだが、当然彼らの拠点である教会には行けない。そうなれば別の場所に行くしかないのだが、

「あ〜金、持ってきてないや……」

夜に戦う可能性を考慮して持ってこなかったがそれが裏目に出てしまっていた。
仕方なしにと彼は闇夜に紛れ一夜を明かす。その代償に夜に遊び呆けていた人間が犠牲になることになろうと誰も気にはしないだろう。
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