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おっちょこちょいのかよちゃん
177 少年を連れて行った者
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 レーニンは東アジア反日武装戦線の黒川芳正、宇賀神寿一、そして桐島聡を本部に戻した。
「レ、レーニン様!」
「構わぬ。私も少し奴等の事を甘く見ていた。だが、この地に奴等が近くなればなる程劣勢になるという訳だ」
 レーニンに取り込んだ少年が心の中で思う。
(本当に欲しいのか・・・)
 その時、一人の女性が現れた。
「レーニン様」
 妲己だった。
「妲己、何の用だ?」
「私や紂王様の屋敷で保護している少年についてですが」
「あの少年がどうかしたか?貴様に任せているのだから相談する必要もあるまい」
「いえ、私の所の遊び相手の娘を嫁にしてやるとは言ってもなかなか選べていないのです。もしかしたらと思い、今敵と協力している人間を誰か生け捕りにして嫁に迎えてやろうかと考えていた所です」
(少年・・・?もしかして・・・)
「それって藤木の事か?」
 レーニンの声が変わった。
「はあ?」
 妲己も声が変わったので変に驚いた。
「失礼。急に同化している少年が現れるのだ。構わぬ。但し、反撃に出られる可能性はあるぞ。気をつけよ」
「御意。それからもう一つ質問が」
「何だ?」
「レーニン様は氷の上で滑る遊びをご存じでしょうか?確か『すけーと』とか言っていましたが、あの少年がやりたいと言っているのです。必要な道具とかはありますか?」
「専用の靴がある。こちらで用意するので待っておれ」
「これはこれは、ありがとうございます」
 レーニンと同化する少年はこの時、確信した。
(スケート・・・。間違いねえ、藤木はこいつの屋敷の中にいる!)
 何しろスケートを好む男子と聞いて思い当たるのが背が高く、紫色の唇で学校では卑怯者として有名なあの男子しかいない。レーニンは別の場所へと移動する。砦を出て、工場のような所に辿り着いた。
(レーニン、何をする気だ・・・)
 工場でレーニンが機械の前で行う操作を少年は自分の事のように感じていた。終了のレバーを引くと、ベルトコンベアーから幾つものスケート靴が出てきた。そしてそれらは一足ずつ箱に収められる。30分程時間が経って作業が全て終わるとレーニンは二人の人間に箱入りのスケート靴を馬車に乗せて運ばせた。そしてレーニンは戻る。
「レーニン、スケート靴をなぜそんなに用意するんだ?」
「杉山さとしよ、妲己は保護している少年を哀れんだつもりでこの世界に連れて来た。事情を聞くと『向こうの世界』で想っていた娘に愛想を尽かされたとの事でな。妲己は今、自分の住む屋敷にてその少年を多くの遊女達と遊ばせて楽しく暮らさせているのだ。妲己はその遊女達を嫁にしていいとは言っているが少年はどうも気が多くて全く選べていないのだ」
「そういう事か・・・」
 レーニンは本部へと戻り、馬車を引いたスケート靴の運送者から靴の箱を貰い、それ
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