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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
G編
第106話:手向けのお節介
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を求める性格からして本質的には子供な部分が残っているのだろう。颯人の挑発は効果覿面だったようで、言葉にならない喚きを上げながら颯人に迫る。勿論それを自衛隊員が見逃すはずもなく、直ぐに肩を左右から掴まれた。

 動きを押さえられたウェル博士に対し、颯人は不敵な笑みを向けた。

「悔しかったら、お前も男の一つも見せてみな」
「あなたなんかに言われるまでもありません! なってやろうじゃありませんか! あなたの度肝を抜くような英雄に!! 今に見てなさい、僕はなってやりますよ!!」

 吠えるウェル博士は、そのまま自衛隊員に連行されていった。

 連れて行かれるウェル博士の背中を見送る颯人と奏。彼の姿が見えなくなると、奏が颯人の脇を肘で小突いた。

「いいのか? あんな風に発破かけたりして?」
「あのまま獄中自殺されたりするよりはマシさ」

 ハッキリ言って先程までのウェル博士は、失意のどん底でそのまま何の情報も吐き出さずに衰弱死してしまいそうだった。そうなる位なら、多少今後に危険が残るが精神的に元気づいてくれた方が良い。少なくとも颯人はそう考えた。

 とりあえずこれで直近の問題は粗方解決だろう。ジェネシスには逃げられてしまったが、彼らは今回の騒動で戦力の大半を失った筈だ。次に何かをするにしてもそれには長い時間が掛かる筈だ。

「あ〜、終わった終わった!」
「帰るか…………あ! そう言えば颯人?」
「ん?」
「さっき言ってた、『とっておきの呪い』って何だ?」
「え? あ、あ〜…………また、後でな」
「何だよ、気になるだろ!」

 颯人が何を隠しているのか気になる奏はしつこく問い掛けるが、颯人は頑なに答えようとしない。

「もしかして嘘だったのか?」
「嘘じゃねえよ。ただあれだ、ここは雰囲気じゃなさすぎる。だからまた後で。もうちょっと落ち着いたらな」

 そう言って颯人はそそくさとその場を歩き出す。その先には、仲間達と喜びを分かち合う響達の姿があった。

「おい待てって! は〜や〜と〜!」

 颯人の後に続く奏。

 背に奏の声を受けながら、颯人は懐に手を突っ込みそこにある”一つの指輪”の存在を確かめるのだった。
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