刀使VS鬼殺隊
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「うむ……強いな。衛藤少女。とにかく、勝敗を決めることより、俺の剣とぶつかりたいという想いが伝わってきた」
「やっぱり、煉獄さんも剣での対話、できるんだね!」
「あまり得意ではない。だが、できないわけではない。俺も柱の仲間たちと、よく剣の鍛錬を積んでいたものだ」
「煉獄さんも……鍛錬を」
「衛藤少女。君の実力は、俺と共に戦ってきた柱にも引けを取らない。それは俺が保証しよう!」
「それじゃあ……!」
「何より……俺も……楽しかった!」
「だが!」と、煉獄は付け加える。
「どうやら、今回はこれで終わりのようだ」
「え? それってどういう……? うっ!」
可奈美が口走るよりも先に、可奈美の全身に痛みが走る。
炎の斬撃が、可奈美の体をあちこち走っていく。その度に、可奈美の体はどんどん写シが?がれていった。
「う……そ……っ!?」
可奈美の悲鳴。
最後に、体に残ったほんの僅かな写シが切り払われ。
美濃関学院最強、千鳥の刀使は。
その場に崩れ落ちた。
「……」
仰向けになると、目に入る青空。
雲。
春先の空気が、可奈美の鼻腔をくすぐる。
今回は、公園の芝生の上なのも相まって、草の匂いが溢れていた。
「可奈美が……負けた……!?」
審判である美炎の言葉に、その事実がようやく可奈美に実感されていった。
思わず、千鳥を持った手が芝生を握る。
「うむ! いい勝負だったぞ! 衛藤少女!」
視界に入り、しゃがんで顔を覗き込む煉獄。
立っている煉獄と、倒れている自分。
その対比が、改めて可奈美にのしかかる。
可奈美は、煉獄の顔と青空を両方目に入れながら、静かに瞼の上に腕を重ねた。
「……うん。いい勝負だった。すっごい楽しかった……!」
「そうか!」
「あの剣術! ……始めて見た……。何より、私……圧倒されてた……!」
「うむ! なかなかの腕前だったぞ! まさか、刀使というものはここまでの強さだったとは! ぜひとも鬼殺隊にも勧誘したいものだ!」
「うん。……考えておく」
自分の腕で隠れた視界。
それだけで、可奈美にはもう何も見えなくなっていた。
「うむ! そろそろらびっとはうすに戻ろうか!」
「ごめん、煉獄さん。ちょっと、このまま放っておいてもらってもいい?」
可奈美の言葉に、煉獄は立ち上がる。その気配の後、可奈美には沈黙が訪れた。
太陽の微かな光だけが差し込んでくる瞼の底。
「何だろう……楽しかった……すっごく楽しかったのに、とっても……。悔しいなあ……負けちゃったの……すっごい久しぶりかも……」
その声は、後になればなるほど震えていった。
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