第六百三十八話 酒が進むその一
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酒が進む
アンは牛肉の串焼きを食べつつ言った。
「こうしてね」
「自由に飲み食い出来ることもか」
「嬉しいわ」
「それだけ凄いか」
「そう、イスラエルの中ではね」
「腹一杯食うことも出来ないか」
「それは出来るけれどね」
満腹になるまで食べることはというのだ。
「ただお料理がね」
「質素か」
「それでお酒についてね」
「厳しいか」
「だから酔うこともね」
これもというのだ。
「堕落でね」
「教理に反するか」
「そう言われてるから」
それ故にというのだ。
「やっぱりね」
「厳しいか」
「そうなの、お肉だってね」
これもというのだ。
「質素にっていうのがね」
「味付けもか」
「そんな感じで」
「フォアグラはないか」
「内臓自体どうもね」
「食べないか」
「そうなの」
これがというのだ。
「それでフォアグラも贅沢でしょ」
「それでか」
「食べないわ」
「そうか」
この時代の連合ではフォアグラ用の鵞鳥は動きを止められない、普通に太らさせられて動いている。太っていても動いている方が美味いという主張からそうなっている。
「それはな」
「悲しい?」
「あれは美味いと評判だからね」
「それでも贅沢だから」
それでというのだ。
「フォアグラはね」
「内臓でもあるしか」
「内臓は今はね」
「食べないか」
「イスラエルだとね」
「まあそれは基本だが」
ここでだ、ギルバートは。
今のものを食べ終えて鶏のレバーの串焼き、もっと言えば焼き鳥を手に取った。それを食べながら話した。
「イスラムだとな」
「食べてもいいのね」
「何度も言うが」
「アッラーは寛大だから」
「これ位はお許しをと言えば」
そうして食べればというのだ。
「許して下さい」
「寛大ね、本当に」
「豚肉もそうだしな」
コーランでタブーとなっていることで有名だがというのだ。
「羊の脳味噌もな」
「あれ美味しいらしいわね」
「家やこうした場所で食べる位ならな」
「いいのね」
「流石に店で料理として出すことはな」
即ち売ることはというのだ。
「どうかとなるが」
「怒られるの」
「法学者がどうかと言いに来るかも知れないな」
イスラムのというのだ。
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