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『外伝:赤』崩壊した世界で大剣豪とイチャコラしながら旅をする
紅雷-おもい-
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目の前を、何かが通り過ぎた。
黒い何か。速すぎて見えなかったが、確かに何かが通ったのだ。

「あ…れ?」

視界が、"ズレる"
ずるずると音を立て、真っ二つになった顔の上半分が地面にぼとりと落ちた。

「ひ…ひあぁぁぁぁああああ!!!!!」

隣にいた一人の隊員がパニック状態となり、マシンガンを乱射する。
すばり、とまた何かが通り過ぎ、今度はその腕が切れた。

皮一枚繋がったその腕は宙ぶらりん状態となり、トリガーを引きっぱなしのマシンガンはそのまま、勢いのままあちこちに銃弾をばら蒔いた。
巻き添えを食らう仲間達。
そしてまた、通り過ぎる黒い"何か"

「何してる!?サーヴァントは一騎なんだぞ!!」
「おや、拙僧は何もしていませぬぞ?」
「…え?」

隊長らしき人物は、己の耳を疑った。
彼は、蘆屋道満は"何もしていない"
じゃあこれは?今起きてる惨劇は?
ヒュンヒュンと空気を裂く音を立て、部下たちを亡き者にしている"それ"は?

「言ったでしょう?あなた方はサーヴァントはおろか…"人間"にも勝てぬと。」
「じゃあ…それは…。」

蘆屋道満の隣。
そこで、人形を抱え笑っている女。
そいつが…やっているとでも言うのか?
しかしそれを証明するかのように、彼女は笑っている。
その恐ろしい目で、こちらを見ながら笑っている。

そして男は悟った。

次は、俺が殺られると。

「…ッ!!」

部下を見捨て、踵を返し全力疾走で逃げようとした。
だが気付くのが僅かに遅かった。
ふくらはぎに感じる激痛。
それに思わず転び、なんとか立ち上がろうとするもそれが出来ない。

「無駄だよ。アキレス腱両方切っちゃったから。」
「…!」

後ろから聞こえる声。
背後から近付いてくる、草を踏む足音。
止まる…いる…。

すぐそこに、"恐ろしいモノ"がそこにいる。

「ひどいよねー。信頼してた部下を見捨てちゃうだなんて。」

一瞬の浮遊感。
その後、自分の身体が黒い沼のようなモノに沈みつつあるのが分かった。
逃げられない。
足掻こうが、それはどんどんハマり沈みこんでいく。

「やめろ…やめろ!!助けてくれ!!どうしてこんな事する!?俺達はただ…!!」
「だって殺そうとしたじゃん。私と道満。これは正当防衛だよ。」

ずぶずぶと沈みゆく身体。
この黒いものは何か?
そんなことはどうでもいい。
自分達は、何か恐ろしいものに喧嘩を売ってしまった。

「すごいでしょう?真誉殿の陰陽術は。基礎を教えたらめきめきと頭角を現し始めまして…中でも虚数魔術を真似たオリジナルの陰陽術が特にお気に入りのようで…。ああ、先程の影の触手もそなたが沈みゆく影の沼もそれです。如何です
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