第二十九話 報いを受けた人その五
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「実にアメリカ的と言うべきか」
「アメリカ的ですか」
「クークラックスクランの創設者も最後は白人と黒人の融和を唱えました」
フォレスト大佐である、軍人としてその戦術論で非常に大きな役割を果たした人物としても知られている。
「実はあの活動もアフリカ系の人達が増長していると見て」
「それで、ですか」
「その姿を見せて驚かせて懲らしめるのが目的で」
彼はそこまでしか考えていなかったという。
「組織の活動が暴力的になると脱退し」
「白人と黒人の融和を唱えたんですね」
「それを多くのアフリカ系の人達の前で演説で訴え」
これもまた歴史にあることだ。
「多くの拍手で迎えられ暫くしてから世を去りました」
「人生のハイライトみたいですね」
「左様ですね」
「そう思いました」
咲にしてもだ。
「その人の」
「演説こそがですね」
「最後はそこに至ったんですね」
「クー=クラックス=クランは今も存在します」
速水は悲しい顔で述べた。
「残念ですが」
「学人こそが最高ですか」
「宗教ではプロテスタントが」
宗教的にもというのだ。
「ですからアフリカ系の人達だけでなく」
「それだとユダヤ系もですね」
「ヒスパニックもアジア系もで」
そしてというのだ。
「カトリックもユダヤ教もです」
「敵ですか」
「よくWASPといいます」
「WASP?」
「WはWHITE、白人です」
速水は咲にそう話した。
「即ち」
「白人の人達ですね」
「そしてASはアングロサクソンです」
「確かそれって」
咲はアングロサクソンと聞いて述べた。
「イギリスの」
「民族ですね」
「そうですよね」
「その通りです」
速水もその通りだと答えた。
「まさに」
「白人でアングロサクソンつまり」
「イギリスにルーツのある」
そうしたというのだ。
「人達でそしてPは」
「それはですか」
「宗教、プロテスタントです」
「キリスト教の新教ですね」
「その人達が長い間アメリカの主流とされ」
「そうでないとですか」
「迫害されてきまして」
そうした歴史がありというのだ。
「彼等はまさにその主流派です」
「WASPのですね」
「流石に今ではアメリカも多様化して」
そうなってというのだ。
「カトリックでアイルランド系の大統領も誕生しました」
「そうなんですか」
「ケネディです」
他ならぬ彼だというのだ。
「彼がそうです」
「WASPじゃないんですね」
「選挙で争ったニクソンもアイルランド系でしたが」
「後で大統領になっていますね」
「そうですね」
このことは咲も知っていた。
「あの人も」
「レーガンもそうでした」
この大統領もというのだ。
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