第二十九話 報いを受けた人その四
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「仏教のお寺を破壊しても何をしてもです」
「許されたんですね」
「そうでした、ですが」
「戦争が終わって」
「暫く経ってです」
戦争の熱が冷めてというのだ。
「批判される様になりました」
「そうだったんですね」
「尚批判している人達が過去に差別をしていたか」
「それはですね」
「わかりません、ただ彼は」
アール=ウォーレンはというのだ。
「後になってです」
「その時のことが批判されたんですね」
「証拠も残っていたので」
その為にというのだ。
「言い逃れなぞ出来ず」
「批判されたんですね」
「彼はそこで自分の罪を知り」
人種差別のそれをだ。
「生涯後悔し続けたといいますが」
「反省しても遅いですね」
「行ったこと、言ったことは返りません」
決してとだ、速水は言い切った。
「世の中それを何があっても攻撃し続ける人もいますし」
「言い逃れ出来ないから余計に厄介ですね」
「世の中糾弾者が正義とは限りません」
速水はこのことを冷徹な声で述べた。
「極めて卑劣で残忍、陰湿で執念深い」
「そうしたとんでもない人にですか」
「糾弾もされます、中には敵にどんな攻撃をしてもいい」
速水はさらに言った。
「例え捏造をしても家族を巻き込んでも」
「滅茶苦茶ですね」
「そうしたことをする人もです」
世の中にはというのだ。
「存在していて」
「それで、ですか」
「容赦なくです」
「攻撃する人もいますか」
「そうです、彼がそうした人に目をつけられたかわかりませんが」
それでもというのだ、世の中罪を憎んで人を憎まずと言うが罪を憎みその人を遥かに憎む者もいるのだ。
「かなりの批判を受け」
「そしてですか」
「罪を知り」
「後悔したのですか」
「後に自伝で反省の弁を述べています、そして」
ここでだ、速水は。
咲にこれまで以上に真剣な顔になりこう言った。
「アフリカ系と白人を分離することは違憲と言いました」
「日系人を差別していたのに」
「はい、アメリカの連邦政府の最高裁判所長官になり」
これも歴史にあることだ。
「他の裁判官達を一人一人説得までしてです」
「差別は間違っているとですか」
「言って法律としてです」
「そのことを認めたんですか」
「これはアメリカの公民権運動でキング牧師やマルコムエックスの活躍が知られていますが」
「その人もですか」
「大きな貢献をしました」
そうであったというのだ。
「十万の日系人を自ら先頭に立って迫害しその権利を踏み躙り生活を奪いましたが」
「その後で、ですか」
「二千万のアフリカ系の人々の未来を切り開きました」
「何か複雑ですね」
「人種差別をした人が後で差別を否定し」
「多くの人を助けたんですね」
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ